2022 Fiscal Year Annual Research Report
化学エネルギーにより駆動するDNA液滴の動的挙動の制御
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22J23376
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 智也 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | DNA液滴 / DNAナノテクノロジー / 人工細胞 / DNAゲル / 生物物理学 / 非平衡系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(i)化学エネルギー依存的なDNA液滴の非平衡状態の実現と、化学エネルギーや反応温度の調整による非平衡状態の制御、および、(ii)複製機能を持つDNA液滴に利用可能な新規DNAナノ構造体の設計を目標とし、その実現に成功した。DNA液滴はY字型DNAナノ構造体が自己集積することによって構築される。(i)では、DNA液滴に対して、二本鎖DNAを解離する機能を持つ大腸菌由来耐熱性ヘリカーゼと化学エネルギーであるdATPを加えて加熱することにより、Y字型DNAナノ構造体間の二本鎖DNA結合を制御することで、DNA液滴の非平衡状態を実現することに成功した。また、非平衡状態のDNA液滴が酵素反応によって溶解する速度が、化学エネルギー量と酵素量に依存して変化することを発見した。さらに、反応温度を調節し、酵素の反応効率を調節することで、DNA液滴の溶解する速度を調節できることを発見した。これらの結果から、化学エネルギーと酵素依存的に、DNA液滴の非平衡状態を制御できるということがわかってきている。(ii)では、NUPACKやoxDNA等のDNA塩基配列設計用のシミュレーションソフトを用いて、大腸菌由来耐熱性ヘリカーゼやDNAポリメラーゼなどの酵素を使用したDNA複製反応とカップル可能な、機能的配列を持つ新規DNAナノ構造体の設計に成功した。また、当初の計画よりも進み、それらの新規DNAナノ構造体によって、DNA複製反応に適切なbuffer内でのDNA液滴の形成に成功した。さらに、新規DNAナノ構造体を構成する1本鎖DNAの複製にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、DNA液滴の非平衡状態の実現に成功し、化学エネルギーと酵素依存的にDNA液滴の非平衡状態を制御できることを発見した。また、DNA複製反応とカップル可能な新規DNAナノ構造体の設計に成功した。さらに、新規DNAナノ構造体を用いたDNA液滴の作製にも成功した。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、酵素と化学エネルギーを用いたDNA液滴の非平衡ダイナミクスの実現を目指す。特に、本年度作製に成功した新規DNAナノ構造体によって形成されるDNA液滴に対し、DNAポリメラーゼ等を用いたDNA複製反応を行い、DNA液滴の成長の実現を試みる。また、核酸分解酵素を用いたDNA液滴の分裂制御反応の実現を試みる。
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Research Products
(5 results)