2022 Fiscal Year Annual Research Report
脳身体シミュレーションによる大脳皮質・基底核・小脳の機能的役割の統合的理解
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22J23214
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
栗山 凜 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 神経回路シミュレーション / 脳身体モデル / 小脳 / 大脳皮質 / 富岳 / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は複数計算機上の神経回路モデルを繋ぐライブラリを、受入研究室の複数メンバーで共同開発した。実装したプログラムは、ロボット用のソフトウェアプラットフォームである Robot Operating System が提供する rosbridge サーバとwebsocket 通信を行うことができるC++ライブラリである。 この成果により、これまで Python や JavaScript の2つの環境でしか利用できなかった rosbridge サーバとの通信をC++で簡便に行うことが可能になり、実際にGPUクラスタを利用して高速に動作する小脳モデルと、別計算機上のネズミ身体モデルとの相互作用を含むシミュレーションが実現できた。また同ライブラリを利用することで、脳部位間も rosbridge サーバを経由して情報伝達を行うことが可能となった。 結果、富岳上で動作する大脳皮質・大脳基底核モデルと、研究室内のGPUクラスタで動作する小脳モデル、研究室内の据え置きコンピュータ上で動作するマウス身体モデルを接続したシミュレーションを実現できた。今現在、上記成果について共著論文を執筆中である。 また並行して、複数脳部位が構成するループ構造が運動学習において階層型強化学習を行なっている可能性があるという仮説に基づき、小脳強化学習モデルの実装と考察を行なった。この研究は、小脳神経回路の仕組みの上で、教師あり学習に加え、強化学習を行える可能性を示唆することができた。この研究成果について、NEURO 2022 及び Society for Neuroscience 2022 でポスター発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は複数計算機上の神経回路モデルを繋ぐライブラリの開発を計画し、進めていた。 結果、rosbridgeサーバを通じて外部計算機上のC++プログラムと相互通信が出来るライブラリを開発することができた。そして、実際に複数脳モデル間での情報通信と、身体モデルを接続したシミュレーションを実現できた。この脳身体シミュレーションの実現という成果は、当初計画以上に進展していると評価できる。 一方で、情報伝達におけるJSONメッセージの形成や読み取りは各シミュレータが独自に記述しているため、当初理想としていた本ライブラリで完結させる点は来年度の課題である。 上記2つの理由により、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度より拡張した統合脳モデルとマウス身体モデルを接続した脳身体シミュレーションの実現を目標に据え、開発したライブラリの評価及び改修と、脳モデルに視床を追加するため、スパイキングニューロンで記述される視床神経回路モデルを構築する。 特にライブラリについて、現在の実装ではメッセージの構築、読み取りを各シミュレータが独自に実装する必要がある。加えて全情報が rosbridge サーバを経由するため、シミュレーション規模の拡大に伴う遅延の増大や情報の欠落といった問題が発生することが予想される。今後は、本ライブラリ単体で完結するようにライブラリを改修し、かつ rosbridge サーバを介さずに脳部位間で情報伝達を行える枠組みの開発を計画している。
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Research Products
(2 results)