2023 Fiscal Year Research-status Report
脳身体シミュレーションによる大脳皮質・基底核・小脳の機能的役割の統合的理解
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22KJ1372
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
栗山 凜 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 神経回路シミュレーション / 富岳 / 脳身体モデル / 小脳 / 大脳皮質 / HPC / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に動かした大脳皮質・大脳基底核・小脳およびマウス身体モデルを接続した脳身体モデルについて、「モデルの拡張として視床モデルの組み込みと学習の追加」、「技術基盤の検証として前年度開発した通信ライブラリの検証と改修」という2項目を目標に研究を開始した。 視床モデルは自身での開発を計画していたが、もともとの大脳皮質・大脳基底核モデルに付随していた視床モデルをそのまま利用した。そのうえで、小脳モデルに一般的な平行線維ープルキンエ細胞間のシナプス可塑性モデルを組み込み、ネズミのレバー引きタスクにおけるゲイン適応の簡易的なシミュレーションを実施した。これらの成果について、第46回日本神経科学会大会にて共同研究者である國吉氏がポスター発表を行い、自分もこれに同行した。さらに、第二著者として Frontiers in Neurorobotics に論文を投稿した (Kuniyoshi et al., 2023)。 なお、この研究中にシミュレーション規模の拡大に伴って富岳上で動作させている大脳皮質モジュールの計算時間が総実行時間の大半を占めることが判明した。したがって、通信ライブラリは現状の開発におけるボトルネックではないことがわかった。 脳身体シミュレーションに並行して、前年度に継続して複数脳部位が構成するループ構造が運動学習において階層型強化学習を行なっている可能性があるという仮説に基づき、小脳強化学習モデルの実装および改修を行った。この研究成果について JNNS2023 にて口頭発表を行い、大会奨励賞を受賞した。なおこの成果が評価され、電気通信大学学生表彰を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度に実装した複数計算機上の神経回路モデルを繋ぐライブラリを用いた脳身体モデルに、新たに視床モデルを追加したシミュレーションとライブラリの検証および改修を計画していた。 結果、視床モデルは既存のモデルを組み込む形をとったうえで、小脳モデルの一部に学習を組み込み簡易な運動タスクをシミュレーションすることができた。また、その成果をまとめてポスター発表や国際共著論文を発表することができた。この成果は当初計画通りに進展していると評価できる。 一方でライブラリの改修について、実行時間上のボトルネックがライブラリではなく今回富岳で動作させた大脳皮質・大脳基底核・視床モデルであることが判明し、来年度はシミュレータの高速化を行う必要性が新たに生じた。 上記2つの理由により、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、運動学習機序の検討の一部として本研究における小脳強化学習モジュールの実装について、得られた成果をまとめ英語論文を執筆し国際誌に投稿する。また、脳身体シミュレーションの規模および粒度の発展に寄与するため、当初計画していた本研究の通信ライブラリの改修ではなく、富岳で動作する神経回路シミュレータの高速化を計画している。 これらの研究で得られた結果をとりまとめ、国内学会である神経回路学会、国際学会である Society for Neuroscience で成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
本来、Society for Neuroscience に現地参加する予定であったが、申し込み時点での進捗状況を鑑みて断念したため。 来年度は Society for Neuroscience にも参加予定であり、また神経回路学会が北海道開催になる影響等により旅費の一部として使用することを計画している。 加えて、英語論文執筆に際して、英文校閲日、論文投稿費、オープンアクセス費等が昨今の情勢として高騰傾向にあるため、来年度使用予定であるそれらの費用の一部補助にあてがう計画である。
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Research Products
(5 results)