2023 Fiscal Year Annual Research Report
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22KJ1380
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
地主 純子 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 会計情報 / 株式市場 / 決算短信 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究では、日本において決算短信公表日の市場反応が増加していることを明らかにした。2022年度は2021年度の成果を踏まえて、日本において決算短信公表公表日の市場反応が増加している理由や、決算短信で公表される利益情報の有用性に踏み込む研究を行った。2023年度は、決算短信公表日の市場反応増加の原因を明らかにし、The Japanese Accounting Reviewへ論文を掲載した。 具体的には、2023年度の研究では、利益公表後に株式市場が利益情報を徐々に織り込む利益公表後ドリフト(Post Earnings Announcement Drift;以降PEADと表記する)に注目した。投資家の情報を処理する能力には限界があるため、利益が公表されたとしてもその情報が即座に株価へ反映されるわけではない。本研究では、近年のテクノロジーの発達によって、投資家が情報処理を行う能力が向上し、株式市場は即座に決算短信の情報を株価に織り込むことが可能になったと考えた。分析の結果、情報処理応力が特に向上していると考えられる外国人投資家に保有されている銘柄において特にPEADが減少していることが明らかになった。また、PEADが減少している銘柄において、決算短信公表日の株価反応は増加していることが明らかになった。これらの結果は、近年の日本市場では、投資家の情報処理能力が向上しているため、即座に情報が株価へ織り込まれていることを示唆している。
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