2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1392
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
天野 雄一 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 代理親魚 / 雑種致死 / 外来種防除 / 人工産卵場 / 流速馴致 / 生殖細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請時点の研究計画に従い、ニジマスを対象として以下の実験を行った。 ① 未分化生殖細胞移植によるニジマス代理親集団の作出と育成: ニジマスとの雑種が致死となるドナー種として選定したブラウントラウト未分化生殖細胞を、宿主となる三倍体ニジマス仔魚の腹腔内へ顕微移植し、移植魚集団を作出した。また、これらの集団について、移植20日後にドナー生殖細胞が宿主生殖腺に取り込まれていることを確認した。さらに、これらの集団を成熟するまで育成し、排精された精子を種判別解析したところ、ドナー由来精子の生産が確認された。 ② ニジマスにおける産卵条件の至適化: 川幅3.2 mの人工河川内に人工産卵場を造成し、野生型ニジマスを放流、産卵させることで、ニジマスにおける最適な産卵場条件を決定した。その結果、ニジマスは水深20cm, 低層流速10-20 cm/s, 表層流速 20-35cm/s, 礫径 10-100 mmの条件で最も効率よく自然産卵することが分かった。また、水槽内で育成したニジマス代理親は遊泳能力が低く、河川内で定位できないため、育成時には流速馴致( 10 cm/s )を行い、放流後の産卵床上への残留率を高めた。 ③ ブラウントラウト精子のみを生産するニジマス代理親集団とニジマスの産卵に最適な環境条件の人工産卵場を利用し、ニジマス代理親が野外環境下で自然交配を行うことが可能か検証した。その結果、放流した代理親雄6尾のうち2尾が野生型ニジマス雌5尾と自然交配し、計9回の放精放卵が観察された。産卵床からは約100-700個の卵が回収され、その受精率は66.7-91.7%であった。孵化した仔魚の種判別解析を行った結果、全ての仔魚がニジマス×ブラウン雑種であった。以上の結果から、代理親魚が野外環境下で自然交配を行うことが可能であり、雑種交配を誘導することで交配相手の繁殖を阻害可能であることが示された。
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Research Products
(3 results)