2023 Fiscal Year Annual Research Report
メタサーフェスを用いた近傍界制御によるアレーアンテナの小型化及び高精度化
Project/Area Number |
22KJ1399
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田村 成 横浜国立大学, 理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ハイブリッド回路 / Magic-T / ヌル走査 / アレーアンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
小型アレーアンテナを方向探知向けに高精度化する際,電波を特定角度方向のみ放射しない「ヌル点」を活用することが有効である.これを実現するために,従来は振幅制御を伴うアンテナシステムが必要であった.本研究はこれを排除したアンテナシステムを提案している.メタサーフェスを用いたヌル形成精度の高精度化に成功した一方,ヌル走査精度の高精度化に必要な移相器に関する課題が残されていた.
当該年度前半は,前年度から継続して高精度移相器の開発に取り組んだ.マイクロ波回路基本素子であるMagic-Tが周波数に依存しない特性を得ることに着目し,高精度移相器の理論実証を進めた.その成果として,Magic-Tの既存設計手法を使わずに,新たな回路構成を提案することで,比帯域幅特性を29%から46%に拡大することに成功した.一連の研究成果は,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniquesに昨年度末掲載された.
当該年度後半は,研究成果の取りまとめとして,ヌル点を走査する上で必要な高性能アレーアンテナと高精度移相器を組み合わせた方向探知アンテナを製作し,特性評価を行った.走査角度45度以内で,30 dBのヌルを形成することに成功し,その角度誤差は5度程度になった.これは,前年度に評価したヌルの理論特性と同様の傾向となり,計算結果と実測精度の一致を確認した.研究成果は,昨年度末に開催されたEuropean Conference on Antennas and Propagationにて発表済みである.以上の研究を通じて,アレーアンテナの小型化と高精度化を果たすアンテナ構成と移相器構成を新たに提案でき,十分な成果が得られた.
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