2023 Fiscal Year Annual Research Report
マグノントランジスタ作製へ向けたスピン波帰還構造の研究
Project/Area Number |
22KJ1403
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岩場 雅司 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | Spin wave / Magnonics / Magnon |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はマグノントランジスタの必須構造であるスピン波帰還構造の開発を行うため、リソグラフィー装置と超高真空スパッタ装置を活用して、微細化スピン波帰還構造を作製した。スピン波帰還構造としてスピン波励起アンテナ、増幅アンテナ、リング共振部を含む導波路を設計した。スピン波帰還構造のリングループ導波路におけるスピン波周回伝搬を調べるため、空間分解能250 nmの精度を有するブリルアン散乱分光法を用いてスピン波の空間分布を測定した。 増幅アンテナを使用してスピン波帰還構造から出力されるスピン波振幅の計測を行った結果、ループ構造を有していない直線導波路に比べて増大することを確認した。また、増幅アンテナの入力電力位相を制御することで最大3倍の増幅効果を得ることに成功した。増幅効果の解析のために周波数解析を行った結果、帰還構造の方が出力部において狭帯域化しており、効率よく干渉が行われていることが明らかとなった。 帰還構造の最適化のため、ループ長の異なる試料を3種類作製しスピン波伝搬を測定した。その結果、ループ長によって出力でのスピン波強度と周波数が変化した。実験結果と比較するためシミュレーション解析を行い、ループ長による特性を計算した。出力強度の変化に対して光のリング共振器の共振条件を当てはめると、曲線部での共振条件が増幅率に大きく寄与することがわかり、最適な補正係数を算出できた。そのため、リング部での共振条件から増幅率の良い帰還構造を作るための最適化指標を確立した。 また、幅方向による伝搬が増幅率低下の原因と考えられたため、線幅300 nmのスピン波帰還構造EBリソグラフィー装置を用いて作製した。帰還構造の出力部でのスピン波振幅を測定した結果、マイクロメートルの帰還構造と比較して伝搬効率が最大4倍に増大した。出力部が狭帯域化され、幅方向による伝搬を抑制できていることが明らかとなった。
|