2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J20050
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
黄海 仲星 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 量子ウォーク / 局在化 / トロポジカル相 / 量子情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は以下の二つの課題の解決を目標とした。 ■目標I. 多状態量子ウォークの固有値解析。 初めに、多状態量子ウォークの固有値解析を転送行列を用いた方法により構成することができ、それを用いて三状態グローバーウォークを包含する重要なクラスに対して具体的に固有値を導出することで、局在化の議論を数学的に行うことに成功した。この研究では状態数が三を超えると、空間を非一様にすることで出現する、転送行列から導かれる固有値と、転送行列が構築できず、個別に導出する必要がある多状態特有の固有値が存在することがわかった。そして、特定の一欠陥や二相系モデルの三状態グローバーウォークを包含するクラスに対して、それら全ての固有値を具体的に導出することに成功した。この結果は、単著論文として国際誌J. Phys. A Math. Theor.に掲載された。 ■目標II. 周期量子ウォークの固有値解析。 周期的なコイン行列を持つモデルに対しても転送行列を用いた固有値解析手法を構築することに成功した。転送行列はその積を考えても、解析に必要な性質を保存することが確かめられた。すなわち、一周期の転送行列を一つの転送行列だと置き換えて議論することにより、解析が可能であることが示された。この手法をもとに、特定の二周期を持つ一欠陥モデルや二相系モデルのクラスに対して具体的に固有値を導出した。この結果は、 単著論文として国際誌Int. J. Quantum Inf.に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、目標である多状態量子ウォーク及び周期量子ウォークの固有値解析に加え、最終年度に取り組む予定であった二状態量子ウォークの長時間平均分布の導出による局在化の定量的評価を行い、さらにStrong trappingと呼ばれる特殊な性質についても議論することに成功した。この結果は国際誌Quantum Inf. Process.に掲載された。また、局在化の研究を発展させ、量子ウォークの再帰確率の研究にも貢献し、共同研究を通じて執筆した論文が国際誌に掲載された。
また、今年度は想定よりもコロナウイルス感染症による影響が緩和されなかったため、研究打ち合わせや学会発表の多くはリモートで行うこととなったため研究出張費として計上する予定であった特別研究員奨励費は、オンラインでの研究活動環境を整える目的で使用した。それにより効率よく研究活動を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二年次では,当初の目標に従って、より高度なモデルである、非ユニタリに拡張した、開放量子ウォーク及び高次元モデルを中心に扱う。これらのモデルでは、フーリエ変換や関数解析の理論を交えて転送行列の理論を構成し、局在化の発生条件を、固有値を導出することにより調べていく。
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Research Products
(6 results)