2023 Fiscal Year Research-status Report
干渉・拡散効果を評価するためのパーコレーションと統計的因果推論の融合技術の開発
Project/Area Number |
22KJ1410
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田口 千恵 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 統計的因果推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,原因と結果の関係性を統計データからの推定を試みる統計的因果推論の理論研究である.本研究は,特にワクチン接種による感染予防などを代表とする,一個体に対する処置・介入が処置を受けた個体以外の個体の影響を与えるような個体間に干渉の存在を許容するデータを解析の対象としている。統計的因果推論とパーコレーション理論,ネットワーク理論を融合させた理論を構築することで,応用の示唆に富む個体干渉を含む因果効果の定量的推測法の開発を目的とする研究である.上記の目的を達成するための研究の令和5年度の実績を、下記に説明する2点の研究中心課題(a),(b)に分けて報告する. (a) 未観測交絡因子の存在可能性の観点からみる個体間の非干渉性の仮定の合理性の検討 (b)パーコレーション理論・ネットワーク理論と統計的因果推論に基づく干渉・拡散効果の識別条件を明らかにし,それらの知見を活かした統計的推測法の提案 研究課題(a)について,個体間の干渉は,その干渉の関係性が単純な場合,未観測交絡因子変数及び誤測定中間変数として捉えることが可能になる.この考えを元に未観測交絡因子・誤測定中間変数が因果効果に与える影響の範囲について論文執筆を行った.現在この結果に関する論文は投稿準備中であり,準備が完了次第投稿をする予定である. 研究課題(b)について,研究課題(a)で得られた知見をもとに,パーコレーション理論・ネットワーク理論と統計的因果推論因果推論に基づく因果効果の定量的推測手法の開発を行った.令和4年度のパーコレーション理論の簡易的な構造であるベーテ格子(木構造)を干渉効果の関係性とみなした場合の干渉・拡散効果の推定手法を拡張を目指し,干渉関係が一方向的ではなく干渉によるループが存在する,より複雑な干渉効果の関係性構造をもつ場合における干渉・拡散効果の推定手法についての検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画と現在の進歩状況を照らし合わせ,本研究の進歩状況は遅れていると判断している.その主な理由は、研究結果の論文化の遅延,発表の未実施のためである.研究実績の概要で述べた研究結果についてまとめ,論文化する過程が当初の予定よりも大幅遅れてしまっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,研究課題(a)と研究課題(b)について分けて説明する. 研究課題(a)については,論文の推敲を直ちにすすめ,学術論文としてまとめ,統計科学学術誌に投稿し,掲載されることを目指す. また,研究課題(b)においても,令和4年度・5年度に行った現実世界での個体同士に近い干渉構造を仮定したもとでの干渉・拡散効果の検討を元に識別可能条件の導出,統計的推測法の提案に向けた検討をまとめ,統計科学学術誌に投稿を目指す.
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れにより,学術論文の投稿,国際学会への参加が出来なかったため旅費・論文投稿費が使用されなかった.また,干渉効果の統計的手法の適応例として,データ購入を考えていたがこちらも研究計画の遅れによりデータ解析を行うことが出来なかった.
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