2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development and demonstration of extrapolative catalyst exploration based on high-throughput experimentation and evidence theory
Project/Area Number |
22J15549
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中野渡 淳 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ハイスループット実験 / 触媒開発 / 機械学習 / メタン酸化カップリング / 能動学習 / 証拠理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、証拠理論を基盤とする、触媒構成要素の置換を用いて触媒性能を類推する論理ベースのアルゴリズムを開発した。証拠理論を採用したことで、不連続な事象を判断材料として、不確実性を伴ったうえで予測を行うことができる。本アルゴリズムは、目的生成物収率に対して閾値を設定し、それを超える性能を持つ触媒を”良い触媒”、そうでない触媒を”悪い触媒”、判断材料が少ない触媒を”分からない触媒”として、その三つの仮説に対して確信度を与える。ここに、良い触媒である確信度と分からない触媒である確信度に基づくサンプリング機構を追加し、触媒推薦システムとした。当研究室が保有する約5万点のメタン酸化カップリング(OCM)に関するハイスループット実験触媒データを用いてシステムを訓練した。 システムから推薦される160触媒の評価が完了し、約2万点の触媒データを得た。160触媒中5触媒が20%を超える目的生成物収率を記録した。なお、OCMは1982年に発見されてから今日まで工業化水準を安定して満たす触媒は見つかっておらず、その基準は収率30%である。 160触媒の評価完了段階で、悪い触媒である確信度が高い触媒から収率20%に迫る性能を持つものが発見されるという予測ミスが数件発生していることが確認された。 これらの触媒は不確実確信度のみから選択されている。このような予測が発生してしまう原因として、触媒性能が低次元な元素の置換ではなく、より高次元な元素の組み合わせによって決定されている場合が考えられる。そのようなケースを予測上で漏らさないようにするために、金融取引における不正検出機構を参考にしてシステムを改良した。これに基づいて約100触媒を評価し、44%の精度でそのようなケースを予測可能になった。元のシステムの精度と合わせ、不確実性を伴ったうえで78%の確率で良い触媒を予測可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに開発した約300種の触媒中の高性能触媒には、OCMにおいて標準触媒とされるMn-Na2WO4/SiO2に近い組成と性能を持つものや、反対にこれまでの歴史では高性能触媒としては知られていなかったものが混在している。OCMは約40年の歴史を持つ反応であり、標準触媒はOCM発足から約10年後に開発されている。それと比較すると本方法論による高性能触媒の開発は非常に速いペースで進んでいることがわかる。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の推薦システムは”良い”か”悪い”でしか触媒を予測できないため、OCMにおける工業化水準を超えうる触媒を狙って提案することはできない。今後の計画としてはその点を改善するようにシステムを改良し、さらなる触媒開発を行う予定である。具体的には、触媒推薦システムが行う分類を「良い・悪い・分からない」から、直接性能クラスを予測するようにするか分類ではなく回帰を行うようにする。 また、開発した触媒が過去のものと比べてどの程度新しいのかということを可視化する方法も検討していく。
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Research Products
(2 results)