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2021 Fiscal Year Annual Research Report

計量化学分子ネットワークを用いたベトナム産植物由来新規生理活性物質の迅速解析

Research Project

Project/Area Number 21J22604
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

各務 裕也  岐阜大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2021-04-28 – 2024-03-31
Keywords天然物化学 / LC-MS/MS / メタボローム解析 / インフォマティクス / 分子ネットワーク / 新規生物活性物質 / 構造解析 / 計算化学
Outline of Annual Research Achievements

創薬シードやケミカルツール分子と成り得る天然物に共通するのは、ユニークな構造と強力な生物活性である。そこで本研究では、特異な構造を持つ生物活性物質を迅速かつ効率的に見出すためのタンデム質量分析インフォマティクスによる探索手法の確立と、それを用いた新規有用天然物の発見を目的としている。
新型コロナウイルスの影響により、計画していたベトナムでの薬用植物のフィールド調査や採集予定の植物を使ったスクリーニングを行うことができなかった。そこでベトナム共同研究者から数種の植物試料を送付してもらい、分子ネットワーク解析を用いたベトナム産薬用植物の成分探索を行った。
ミカン科Melicipe pteleifolia葉部エキスのLC-MS/MSによるノンターゲットメタボローム解析データから分子ネットワークを構築することで、フロロアセトフェノン誘導体やフロキノリンアルカロイド類等の既知物質のデリプリケーションに成功し、分子量とMS/MSフラグメントから未知化合物群に相当する分子ネットワークを見出した。そこで、MSで追跡しながら各種クロマトグラフィーに付し、5種の標的化合物を単離した。構造解析の結果、エチリデン基や1-ブタノール基をリンカーとするほとんど前例のない新規クロメン二量体と決定した。ラセミ体であった4種について、キラルカラムを用いた光学分割を行い、計算化学による電子円二色性スペクトルとNMR化学シフトの予測から絶対立体配置を明らかにした。また、新規化合物のうちの数種が、マウスマクロファージ細胞(RAW 264)においてリポ多糖で誘導される一酸化窒素の産生を顕著に抑制することを見出し、クロメン骨格へのリンカー結合位置が活性に大きく影響を与えることが分かった。
同様の方法にして、ツヅラフジ科Fibraurea recisa根部から新規ステロイド2種を効率的に単離することにも成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウイルスの影響によりベトナムへの渡航が困難であったため、当初予定していた薬用植物のフィールド調査や採集を行うことができなかった。ベトナムの共同研究者から送付してもらった数種の植物サンプルについて、抗アレルギー活性のスクリーニングを行ったがヒットサンプルを得られず、新たな天然物探索手法の確立に必要となるバイオケモメトリクスの条件検討を実施できていない。
しかし、送付された植物サンプルを用いて本研究課題の中軸を担うLC-MS/MSのノンターゲットメタボローム解析の条件検討と分子ネットワーク解析までのパイプラインの最適化を行うことができた。また、分子ネットワーク解析をベトナム産薬用植物の成分探索に導入することにより、ミカン科M. pteleifoliaから5種の新規抗炎症クロメン二量体とツヅラフジ科F. recisaから2種の新規ステロイドの迅速な単離に成功した。これらの研究成果については、2報の学術論文を投稿中、あるいは執筆中である。
以上より、本研究で目標とするLC-MS/MSを基軸とした2つの異なるインフォマティクスを統合する新たな天然物探索手法の確立において、その1つである分子ネットワーク解析を活用した新規生物活性物質の効率的な探索に成功していることから、おおむね順調に進展している、と判断した。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題は、化合物の生物活性を予測するバイオケモメトリクスと構造的特徴を捉える分子ネットワーク解析を統合した探索手法を構築し、迅速な新規生物活性物質の発見を目指している。今後はバイオケモメトリクスの条件検討を行い、既に最適化できている分子ネットワーク解析と統合することで手法の確立を実現する。そのために、以下の2つの研究項目を遂行する。
1:バイオケモメトリクスの条件検討と最適化
検討予定の生物活性であった抗アレルギー活性ではヒットサンプルを得られなかったが、細胞増殖抑制活性や抗炎症活性等の他の生物活性スクリーニングを実行し、ヒットサンプルを見出す。新型コロナウイルスの影響により、ベトナムでの追加の植物採集に時間を要していることから、日本の薬用植物も視野に入れて生物活性試験を行う。スクリーニングにおいて高い生物活性を示した植物エキスに対して、LC-MS/MSによるノンターゲットメタボローム解析を行い、バイオケモメトリクスの条件検討と最適化を行う。
2:分子ネットワークとバイオケモメトリクスの統合と標的化合物の単離
バイオケモメトリクスから得られる各前駆イオンの活性に及ぼすスコア(Selectivity ratio)を分子ネットワークに組み込む。可視化したネットワーク中から構造的に興味深く、かつ活性に影響すると推定された化合物を有するクラスターを見出す。それを標的化合物として定めて、単離、構造決定、および生物活性試験を行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] ハノイ工科大学(ベトナム)

    • Country Name
      VIET NAM
    • Counterpart Institution
      ハノイ工科大学
  • [Presentation] 分子ネットワークを用いたベトナム産薬用植物由来新規抗炎症クロメン二量体の発見と構造決定2022

    • Author(s)
      各務裕也,Nguyen Thi Minh Tu,光永徹
    • Organizer
      第72回日本木材学会大会
  • [Presentation] Molecular Networking-based isolation of dimeric chromenes from leaves of Melicope pteleifolia2021

    • Author(s)
      Yuya Kakumu, Minh Tu Thi Nguyen, Tohru Mitsunaga
    • Organizer
      The 11th JSP-CSP-KSP Joint Symposium on Pharmacognosy
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2022-12-28   Modified: 2023-08-01  

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