2023 Fiscal Year Annual Research Report
古浄瑠璃本文・挿絵総合データベース構築と活用の研究
Project/Area Number |
22KJ1559
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松波 伸浩 名古屋大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 古浄瑠璃 / 仮名草子 / 本文整定 / 注釈 / 挿絵 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究期間全体の成果】古浄瑠璃本文を整定・注釈し、加えて挿絵へのタグ付け作業を推進し、それらを活用して古浄瑠璃の文学的研究を行なった。主な成果は、(1)約200点の古浄瑠璃作品の整定本文及び挿絵のタグ付けを完了したこと、(2)その結果、①古浄瑠璃作品の構想や世界観が近世期の他の小説や演劇の構想上の基盤となったこと、②浄瑠璃の人物描写は古浄瑠璃の時代に大きく深化したこと、③古浄瑠璃の詞章に含まれる語の用例が国語辞典の語釈を刷新し得ること、④他分野の文芸との交渉が見られるが明らかになった。 【最終年度の成果】前年度に引き続き、古浄瑠璃本文への整定・注釈の作業を進め、それを元にして古浄瑠璃の文学的研究を推進した。本年度の具体的な業績は、査読論文3編(うち全国学会誌2編)と口頭発表2件である。「「たのもし」の心性―言語資料としての古浄瑠璃―」は上記【研究機関全体の成果】で示した③に関わる業績であり、前年度の口頭発表に加筆修正し、全国学会誌『日本文学』第72巻8号(2023年8月)に掲載された。「田村丸物古浄瑠璃の主題と構想」は上記①に関わる業績であり、東海近世文学会第311回例会(2023年4月)で口頭発表の上、『名古屋大学国語国文学』第116号(2023年11月)に掲載された。「古浄瑠璃における悪と悪役の造型」は、上記②に関わる業績であり、前年度の口頭発表を加筆修正し、全国学会誌『文学・語学』第239号(2023年12月)に掲載された。また、上記④に関わる「女の見せる<知略>と<勇力>―後期古浄瑠璃の女性像―」を日本文学協会第42回研究発表大会(2023年7月、於二松学舎大学)で口頭発表し、現在論文化の最中である。
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