2023 Fiscal Year Annual Research Report
環境・行動・ストレス計測による、海鳥の採餌戦略および繁殖戦略の解明
Project/Area Number |
22KJ1560
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 偲歩 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 海鳥 / バイオロギング / 採餌行動 / 酸化ストレス / オオミズナギドリ / シイラ |
Outline of Annual Research Achievements |
海鳥であるオオミズナギドリを対象に、日本海に位置する新潟県粟島で8月から10月上旬にかけて野外調査を行なった。育雛中の19個体を捕獲し、採血および体重計測を行なった後に、GPSと加速度を記録する小型記録機器を海鳥の背中に装着し、放鳥した。放鳥1日から17日後に15個体を再捕獲し、2回目の採血と小型記録機器の回収を行った。また、個体の体の大きさを記録するために、外部形態計測を行なった。採血を行わないコントロール群26個体に対しても、小型記録機器の装着および回収を行い、各個体から2週間程度の行動データを取得した。また、個体群の繁殖成績を記録するために、雛19個体の体重および外部形態の計測を5日おきに行った。 また、これまでの野外調査により蓄積されてきた合計11年間分のデータを用いて、海洋環境と海鳥の行動・繁殖の関係解明に取り組んだ。その結果、親鳥は海表面水温で示される餌利用可能性が高い場所をよく利用していること、また、繁殖成績が低い年には親鳥は餌利用可能性が高い場所をよく利用していることを示した。海鳥が周辺環境や繁殖状況に合わせて柔軟に採餌行動を行うことを示した本結果を、学術論文にまとめ、査読付き国際学術雑誌(Animal Behaviour)に投稿・発表した。さらに、オオミズナギドリと、オオミズナギドリの餌である小型魚類のカタクチイワシ、オオミズナギドリと餌をめぐって競争する可能性がある大型魚類のシイラとの関係を明らかにした。海鳥が周辺環境に応じて戦略的に採餌を行なっていることを示唆したこの結果は、現在査読付き国際学術雑誌に投稿中である。また、国際学会(The 8th International Bio-Logging Science Symposium)にて口頭発表を行った。 以上より、当該研究は研究計画を上回る研究の進展があったと言える。
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