2022 Fiscal Year Annual Research Report
笠-高柳公式に代わるホログラフィックなエンタングルメントエントロピー公式の構築
Project/Area Number |
22J14390
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻村 潤 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | AdS/CFT |
Outline of Annual Research Achievements |
AdS/CFT対応は重力を含まない場の理論と重力理論との対応関係である.この対応関係に基づき,笠-高柳予想は量子もつれの大きさを定量化する指標であるエンタングルメントエントロピーを評価する方法である.特に,AdS/CFT対応を用いて与えられたエンタングルメントエントロピーをホログラフィックエンタングルメントエントロピーという.場の理論においてエンタングルメントエントロピーは物質の量子相転移を特徴付ける秩序変数となっている.一方で,AdS/CFT対応においてホログラフィックエンタングルメントエントロピーはブラックホールの情報理論的側面からの研究やAdS/CFT対応のメカニズムの理解において基本的な役割を担っている.よく知られた笠-高柳予想の導出の際には適当な二種の極限操作を行っているが,これらの扱いには注意が必要で笠-高柳予想の導出には疑問点が残る.そこで本研究は笠-高柳予想に代わり,ホログラフィックエンタングルメントエントロピーを与える手法の提案を目指している.そこで本研究ではホログラフィックエンタングルメントエントロピーが適当な極小曲面の組み合わせによって与えられることを仮定し,その適切な組み合わせを探った.具体的な系として,最も単純な系である二次元の共形場理論における二区間系および多区間系のホログラフィックエンタングルメントエントロピーを対応するAdS時空中の極小曲面により与える方法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,本研究で解決すべき課題は重力系およびAdS/CFT対応の詳細に関するものであると予想していた.しかし,問題の本質は半古典極限におけるエンタングルメントエントロピーの取り扱い方であったため,その部分の研究が主となった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を実行する上で基礎となる部分の詳細を明らかにすることができたので,当初の計画通り研究を遂行する.
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