2023 Fiscal Year Annual Research Report
収束的One-potペプチド連結による長鎖タンパク質超高効率化学合成法の確立
Project/Area Number |
22KJ1585
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中津 幸輝 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | タンパク質化学合成 / Native Chemical Ligation / ペプチドチオエステル / Fmocペプチド固相合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、タンパク質を有機化学に合成する「タンパク質化学合成法」を効率化する新規手 法の開発を目的とした。特に、その過程でも最も重要なペプチド同士の連結ステップにおける 効率化を指向して、高効率ペプチド連結法の開発と新規チオエステルペプチド合成手法の開発に取 り組んだ。 前者については新規Allyl系システイン保護基の開発により、チオエステル前駆体のチオール基において開発した保護基をかけることでN-to-C方向(N末端からC末端方向へ)でのone-potペプチド連結法を確立した。さらには、2022年度に学術論文として発表したC-to-Nペプチド連結法(K. Nakatsu et al., Angew Chemie 2022)と上記の手法に直交性があることを見出し、これらの手法を組み合わせた連結方向切り替え可能なone-potペプチド連結法の開発に成功した。one-potでの反応系中で連結方向を切り替えられる手法は過去に報告例がない。本手法を用いて、ジユビキチン化ヒストンH3の化学合成を達成した。本手法は今後さまざまなタンパク質の化学合成おいて適用され、合成過程の効率化が望まれる。 後者については非天然型プロリン誘導体を用いたタグ修飾ペプチドチオエステルの効率合成法の開発に取り組んだ。ペプチドチオエステルはペプチド連結反応の鍵となるアシルドナーである。その前駆体の一種であるCys-Pro-脱離基型チオエステル前駆体において、種々のγ位修飾型プロリンを用いることで、2,5-ジケトピペラジン形成反応を介したチオエステル化効率を向上させることに成功した。最終年度では、様々なγ位修飾間での反応速度の違いを実験的に比較しつつ、計算化学的手法を用いてγ位修飾型プロリンによる反応加速機構の解析をDensity Functional Theory(DFT)計算を用いて行なった。
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Research Products
(5 results)