2022 Fiscal Year Annual Research Report
拡張された幾何学に基づく初期宇宙現象論と量子論の探究
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22J22254
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三倉 祐輔 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 初期宇宙 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙は誕生して間も無くインフレーションと呼ばれる加速膨張期を経験したと言われている。その起源は未だ解明しておらず、様々な研究が行われている。インフレーションの数ある模型のうち、素粒子標準模型に含まれるヒッグス場により加速膨張を引き起こす模型(ヒッグスインフレーション)は観測的整合性と実験で存在が確定している状況から最も有望視されている模型の一つである。
私は前年度に拡張した幾何学に基づくヒッグスインフレーションの紫外完備化に関する研究を行い、標準的に用いられる理論は低エネルギーの有効理論として正しくない可能性を指摘した。本年度はリーマン幾何上で定義されるヒッグスインフレーションと拡張した幾何上の模型を滑らかに繋げる新しい模型を提唱し、そのインフレーション現象論と低エネルギー有効理論としての妥当性を調べた (ArXiv:2209.11051)。現象論的な観点では、期待していた通り観測的予言は現在の制限と整合的であるとともに二つの幾何への極限を正しく持つことがわかった。整合性の観点では、理論がプランクスケール以下の有効理論として振る舞うためには、リーマン幾何に対応する極限である必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では一般化した幾何学に基づく標準的なヒッグスインフレーションは低エネルギー有効理論としてふさわしくない可能性が高いことがわかった。これはこれまでの理解を見直し、新しい模型を探る必要性を指摘した重要な成果である。 また SISSA の Percacci 教授と拡張した幾何学に基づく一般的な重力理論の基礎的研究を行っている。これによりこれまでにない模型構築を行うことが可能になると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
Percacci教授と一般化した幾何に基づく重力理論の場の理論的研究を行い、同時に初期宇宙への応用を名古屋大の多田教授と行う。宇宙論への応用では、低エネルギーの理論として許される全ての模型を含む有効場理論を考え、従来のヒッグスインフレーションに代わる新しい模型構築の可能性を模索する。
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