2022 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体チップテクノロジーを応用したマルチプレックス遺伝子診断デバイスの開発
Project/Area Number |
21J21857
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
夏原 大悟 豊橋技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | マイクロ流体デバイス / LAMP法 / 多項目同時診断 / 感染症診断 / 食物アレルギー検査 / エアープラグインバルブ / 非対称形状ミキサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は開発しているマルチプレックス遺伝子診断デバイスの反応容器への微小流体の高流量での分注を可能にする新規のバルブ構造(エアープラグインバルブ)の開発ならびに、デバイス上での食物アレルギー物質3品目の同時診断、混合部への新規のマイクロミキサ(非対称形状ミキサ)の開発に取り組んだ。エアープラグインバルブの開発では、反応容器への溶液の導入後、隣接する反応容器のバルブ間で空気をトラップさせることで互いに空気を介して押し合うことでバルブにかかる圧力を減殺させる構造を考案した。これにより、導入流量70uL/minでの導入を可能にし、導入時間の短縮を実現した。さらに、この新規のバルブ構造では、これまで流路デザインの設計時、最も考慮すべき事項であった反応容器の個数の制約を排除することができ、原理上、無限個数の検査項目の増加を実現できた。デバイス上での食物アレルギー物質の同時診断では、小麦、そば、落花生の3種類の植物性アレルゲンを本診断デバイス上での60分以内での検出を実証した。さらに、本デバイスのもう一つの重要な機能である混合部に非対称形状を持つマイクロミキサを開発した。流路中心に対し左右非対称の流路形状にすることで高効率かつ広いレイノルズ数(Re=0.13~13)で混合できることを示した。今後は、遺伝子増幅の定量診断手法の開発を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に解明した微小流体の分注現象の理論に基づき、改良する流路デザインを考案した。その結果、導入流量を大幅に増加させるだけでなく、設計上の制約であった反応容器の個数の上限を排除することができ、多項目診断性能を向上できた.。さらに、従来技術では二段階の作製プロセスが必要であった混合部を一回のプロセスで作製可能な非対称形状ミキサを考案できたことで、デバイス全体を一回のプロセスで作製できるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度はデバイス上での遺伝子診断の定量解析手法の開発に取り掛かる。これまでは、遺伝子増幅反応後のデバイスを撮影し、画像の反応容器の色を解析することで陽性・陰性を判定してきた。そこで、遺伝子増幅反応中のデバイス画像をタイムラプス撮影し、その画像を解析することで時間経過に伴う色の変化をモニタリングする。これにより、色の変化の開始時間を算出することで標的の遺伝子量を定量的に解析する。
|