2022 Fiscal Year Annual Research Report
脱炭酸的不斉官能基化反応を鍵とする新規スピロ環化反応の開発
Project/Area Number |
22J14058
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
河西 遼大 豊橋技術科学大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | スピロ多環式化合物 / キラルスピロ化合物 / 分子内SN2反応 / 脱炭酸的不斉塩素化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではキラルスピロ化合物の合成法と得られたキラルスピロ化合物の誘導化反応の開発を行った。スピロ構造とは一つの原子を介して二つの環構造が結合している化合物の総称であり、医薬品、農薬等の部分構造として有用である。本研究では以前に筆者の所属する研究室で開発されたβ-ケトカルボン酸の不斉脱炭酸的塩素化反応を利用したキラルスピロ化合物の合成を行い、さらに得られたスピロ化合物の誘導化反応により多様な構造を持つ多環式化合物の合成を行った。 はじめに末端にアシル基を持つβ-ケトカルボン酸から脱炭酸的不斉塩素化反応により高い光学純度でα-クロロケトンを合成した。続いてα-クロロケトンを塩基で処理することで、分子内SN2反応と続く分子内アルドール反応によるスピロ多環式α,β-不飽和ケトンを合成した。本反応において光学純度はほぼ保持された。 次に得られたスピロ多環式化合物の誘導化反応を行った。水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)を作用させる事でα,β-不飽和ケトンの1,2-還元反応が進行し良好な収率及びジアステレオ選択性で目的とする多環式アリルアルコールが得られる事を明らかとした。触媒量のブレンステッド酸存在下、得られた四環式アリルアルコールに対してアルコールやチオールを作用させる事でフリーデル・クラフツ反応が高収率、高ジアステレオ選択的に進行する事も見出した。同反応ではコレステロールやガラクトース誘導体等の複雑な構造のアルコールであっても問題なく導入する事が可能である。また多環式アリルアルコールに対してPt/C触媒存在下、水素添加反応を行う事で目的の還元体を良好な収率及びジアステレオ選択性で得られる事も明らかとした。現状、多様な構造を持つキラルなスピロ化合物の合成法は限られているため、本手法は今後医、農薬開発分野での利用が期待できる。これらの研究成果は今後国際学術論文に投稿予定である。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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