2023 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤応用を志向した環状ピロール-イミダゾールポリアミドの開発と機能評価
Project/Area Number |
22KJ1695
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣瀬 優希 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ピロール-イミダゾールポリアミド / 環状ピロール-イミダゾールポリアミド / 抗がん剤 / DNAアルキル化剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピロール-イミダゾールポリアミド (PIP) はDNAに塩基配列特異的に結合する分子であり、本研究課題では特に、従来のヘアピン型PIP (hPIP) に比べて高い結合能・特異性を示すことが知られている環状構造を持つPIP (cPIP) の機能評価・改善を行うことを目標としている。これまでの研究で、CAG/CTG反復配列に強く特異的に結合するcPIPが疾患細胞およびモデルマウスで異常遺伝子選択的な発現抑制および病態の改善を示しDNAリピート病の治療薬として応用が期待されている。一方でがん関連転写因子の結合配列を標的としたcPIPがhPIPよりも低い細胞内取り込み効率を示し、それにより細胞内活性が低下していることが示唆された。今年度は前年度に続きこのcPIPの細胞取り込み効率の低さの要因の解明とその改善を目指した。前年度に得られた、cPIPと細胞膜との相互作用様式に関する知見に基づき特定の部位に疎水性修飾を加えたcPIPを合成し、細胞取り込み効率の改善を試みたが改善は見られなかった。一方でエンドソーム脱出促進試薬を用いた実験により、cPIPの細胞内活性の低さが細胞内への取り込み段階ではなくエンドソーム脱出の滞りにより生じていることが示唆された。 上述の研究に加え、今年度は抗がん剤応用を目指したhPIPの機能評価を行った。転写因子RUNXの結合配列を標的としたhPIPにDNAアルキル化剤を導入した化合物についてp53変異を持つすい癌細胞PANC-1に対する活性とその作用機序を評価した。その結果、各化合物によるアポトーシスの誘起や、そのアポトーシス誘起に関連する経路に関するいくつかの知見を得た。さらにRUNXのノックダウンがアポトーシスを誘導することも分かった。これらの結果は論文として報告し、加えてPANC-1と異なるp53変異をもつがん細胞への活性についても論文を投稿した。
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Research Products
(9 results)