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2021 Fiscal Year Annual Research Report

言語進化学における進化的説明の科学哲学的考察--進化するとはどういうことか

Research Project

Project/Area Number 21J22648
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

中条 太聖  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2021-04-28 – 2024-03-31
Keywords言語学の哲学 / 生成文法 / チョムスキー / 科学哲学 / 理想化
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的である言語進化学における対立解消のため、本年度は対立の一翼である生成文法にまとを絞り研究を行なった。とりわけ生成文法がとる研究方法を、理想化を含む科学モデルとして解釈するという観点から検討を行なった。なお、令和4年度の研究計画に相当しているが、前後を入れ替えても全体の計画に支障をきたさない。
現時点で得られた理解は以下。(1)生成文法の理論は理想化(言語の形式的な記述、理想的な母語話者、能力/運用の区別、生得性仮説(P&P)、など)を含む科学モデルである。(2)同理論は、多くの理想化を含むが故に言語器官についての正確な記述(how-actually)ではなく、文字通り読めば偽である。しかしながら、そうであるからこそ言語現象についての様相的理解、説明が得られている。(3)様相的理解を通じ、現象を生じさせる要因を抽出して現象がいかにして可能かについての説明(how-possibly)を与えている。例えば、言語能力が運用システムの影響を受けない母語話者という理想化によって文法現象を可能にする要因を理解することができている。(4)how-possibly理解は正確な記述のための前駆体としての機能もある。これは言語の生物学的(神経科学的)理解を目指す生成文法の企てと齟齬のない解釈である。本内容は、共創言語進化学若手の会上記の素描は共創言語進化学第9回減退研究会で報告した。現在この研究を論文に執りまとめ、投稿に向けて準備をしている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

生成文法の言語に対する取り組みを科学モデルとして検討していく研究として、現状得られている理解はほぼ予定通りの進捗だが、論文として投稿に至っていないことが区分評価の理由である。

Strategy for Future Research Activity

今年度は生成文法の研究がいかにして言語への理解をもたらすかに焦点を当てたものであった。次年度は、この理解を言語進化の問題へと接続することを試みる。進化という観点から言語を考える際、言語に特徴的な行動、能力がいかにして広まったのかを考察することが、いわば主流である。一方で生成文法の試みは、言語的特徴がいかにして生じたのか/生じ得るのかに強い関心を持つ。私見ではこの二つの観点は対立するものではない。今後は、こうした進化説明における着目点の違いから、言語の進化が跳躍的か漸進的かという論争を解き解すことを試みる。

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Published: 2022-12-28   Modified: 2023-08-01  

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