2023 Fiscal Year Annual Research Report
Plant utilization strategies by mammals in alpine ecosystems of the Kyrgyz Republic
Project/Area Number |
22KJ1738
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
義村 弘仁 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 野生動物 / ユキヒョウ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年5月にキルギス共和国に渡航し、野生哺乳類の糞採取をおこなった。帰国後、DNAを用いて、野生哺乳類の糞中に含まれている餌動物と植物を明らかにした。そして、研究期間全体を通じて収集してきたデータを合わせて解析した。その結果、Sarychat-Ertash Nature Reserveにおいて、ユキヒョウの糞中からはMyricaria属の植物が頻繁に検出されることがわかった。この植物は同所的に生息する他の哺乳類(オオカミ、キツネ、アルガリ、アイベックス、マーモット、クマ)の糞中からはほとんど検出されなかった。機械学習の手法を用いた分析においても、Myicaria属の植物がユキヒョウの糞を特徴づけていることが示された。また、糞中の餌動物と植物の共起分析をおこなったところ、Myricaria属の植物は餌動物のDNAが含まれていない糞から検出されることがわかった。このことから、ユキヒョウは消化管が空の時に、この植物を食べていることが示唆された。まず空腹時に何かを噛みたいという衝動からMyricaria属の枝をかじっているという仮説が考えられた。別の仮説としては健康状態が悪く、餌を捕れなくなっている個体が薬効利用のためにMyricaria属を摂取している可能性も考えられた。 研究期間を通じて実施した研究の成果は博士論文としてまとめ、所属期間に提出し受理された。また、野生ユキヒョウ糞中の植物と餌動物の関係について、11月に The 18th International Symposium on Primatology and Wildlife Scienceにて口頭発表を行った。加えて、国際誌 Royal Society Open Scienceに提出し受理された。
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