2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mapping synaptic cleft proteomes by photoactivated proximity labeling
Project/Area Number |
21J23228
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高遠 美貴子 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 近傍ラベル化法 / タンパク質間相互作用 / インタラクトーム / プロテオミクス / 神経伝達物質受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近傍ラベル化法とは、生体内環境で特定のタンパク質の周辺に存在するタンパク質を網羅的にラベル化し同定する方法である。近傍ラベル化法は未知のタンパク質間相互作用を同定する上で有用であるが、従来法は標的タンパク質に外因性酵素を遺伝子工学的に融合する必要があるため、本来のタンパク質の動態を反映しない可能性がある。そこで当研究室は遺伝子改変を必要としない光駆動の近傍ラベル化法を開発した。本手法では、標的タンパク質に小分子の光増感剤を化学修飾し、光照射によって一重項酸素を発生させることで周辺タンパク質を酸化、ラベル化する。本研究ではこの光駆動近傍ラベル化法を用いて、生きたマウス脳内に発現する神経伝達物質受容体の新規相互作用分子候補を発見することを目的とする。具体的には学習や記憶形成において重要な役割を果たすAMPA型グルタミン酸受容体や抑制性神経伝達を担うGABAA受容体などの相互作用分子を同定することを目指す。
令和3年度は各標的受容体に光増感剤を修飾する化合物を合成し、実際に生きたマウス脳内で光駆動近傍ラベル化法の実験系を確立した。質量分析の結果、標的受容体との相互作用が知られているタンパク質やシナプス間隙タンパク質が複数同定され、光駆動近傍ラベル化法がin vivo適用可能であることを示した。今後は同定された個々のタンパク質と標的受容体との関係性をイメージング等の手法を用いて調査する。また、本手法を用いてAMPA型グルタミン酸受容体周辺プロテオームの時間変化を追跡することも試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物個体内での実験系確立は困難であることが予想されたが、令和3年度の実験開始当初から期待できる結果が得られ、光増感剤とラベル化剤の構造や投与方法、光照射条件などの検討を重ねた結果、生きたマウス脳内で三種類の神経伝達物質受容体の近傍ラベルに成功した。細部の条件最適化を今後行う必要はあるが、概ね当初の予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は論文化に向け、生きたマウス脳内でAMPA型グルタミン酸受容体とGABAA受容体の近傍ラベル実験を最低4回行い、データの再現性を確認する。標的受容体との相互作用が未報告のタンパク質が同定された場合は、偽陽性でないことを確認するためイメージング等の別の手法を用いて標的受容体との関係性を調査する。また、光駆動近傍ラベル化法の強みの一つである高い時間分解能を生かして、マウス脳内のAMPA型グルタミン酸受容体周辺プロテオームの時間変化を追跡することも試みる。
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