2021 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類線条体コンパートメント構造の神経機構と不安生成メカニズム
Project/Area Number |
21J40030
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
雨森 智子 京都大学, 高等研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-01-04 – 2025-03-31
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Keywords | ストリオソーム / 霊長類 / 不安障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、霊長類ストリオソーム/マトリックスの細胞群の、不安や罰への応答を明らかにし、回路操作によりその相互作用を明らかにすることを目的とする。霊長類ストリオソーム/マトリックスは線条体内で相互に入り組んでおり、生理学的な同定が難しい。このことから、所属する研究室ではストリオソームの細胞に特異的に発現するウイルスを開発するプロジェクトが立ち上がった。研究員は同研究室の齊藤助教とともに、このストリオソーム特異的なウイルスの開発、マウスでのウイルスの評価に着手している。 また、不安とストリオソーム/マトリックスの関係に関して、タンパク質ネットワークによりその関連性を調べる研究を行った。これにより、ストリオソームが特に全般性不安障害、マトリックスが社交不安障害に関係することが明らかになった。この研究成果は第二著者としてScientific Reports誌に出版された(Karunakaran K et al., 2021)。 さらに、不安障害やうつ病に関係する脳皮質領域である、背外側前頭前皮質(dlPFC)、前帯状皮質膝下部(sACC)、前帯状皮質膝前部(pACC)、線条体、の四領域がどのように相互作用して不安状態を引き起こしているのかを、グレンジャー因果解析によって解析している。不安状態では、dlPFCからsACCに与える影響が弱くなり、pACCからsACCに与える影響が強くなることが分かった。現在はこの解析結果をまとめて論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルスの開発は順調に進んでおり、ウイルスの作成後、マウスでの注入、ウイルスの組織学的な評価に着手している。 ストリオソームと不安との関連性を、タンパク質ネットワークにより明らかにする研究を行った。これにより、ストリオソームが特に全般性不安障害や強迫性障害に関係することが明らかになった。この研究成果は第二著者としてScientific Reports誌に2021年1月に出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
ストリオソーム細胞に特異的なウイルスを開発し、マウスに注入し、ウイルスを組織学的に評価する。その後、サルにもウイルスを注入し、細胞イメージングと組織学両方で評価する。ストリオソーム特異的なウイルスにカルシウムイメージングのセンサー遺伝子を導入し、ストリオソーム細胞の活動をイメージングできるようにする。 また、別のアプローチ法として、ストリオソーム細胞に特異的に存在するミューオピオイド受容体に着目し、そのブリッジプロテインを開発し、サルに適応するプロジェクトも進めている。
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Research Products
(7 results)