2022 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類線条体コンパートメント構造の神経機構と不安生成メカニズム
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21J40030
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
雨森 智子 京都大学, 高等研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-01-04 – 2025-03-31
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Keywords | 神経解剖学 / マカクザル / 大脳基底核 / 線条体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、霊長類ストリオソーム/マトリックスの細胞群の、不安や罰への応答を明らかにし、回路操作によりその相互作用を明らかにすることを目的とする。霊長類ストリオソーム/マトリックスは線条体内で相互に入り組んでおり、生理学的な同定が難しい。このことから、所属する研究室ではストリオソームの細胞に特異的に発現するウイルスを開発するプロジェクトが立ち上がった。研究員はこのウイルス作成に必須である遺伝情報を獲得するために、特に不安に関わることが示唆されるサルの脳部位で、single nucleus RNA-sequencing(snRNA-seq)を行っている。RNA解析のための脳組織サンプリング手法を開発し、数頭のカニクイサルで脳サンプリングを行った。うち2頭のサンプルを共同研究者がsnRNA-seq解析を行っている。また、げっ歯類のストリオソームにはミューオピオイド受容体が特異的に発現することが知られているが、サルでは分布の対応がわかっていない。よって、ミューオピオイド受容体の発現パターンを2頭のサルの脳切片で組織学的に調べた。その結果、線条体の後方部ではストリオソームと比較的一致して発現することを見つけた。このことから、ミューオピオイド受容体を持つ細胞に特異的に発現するウィルスをサルに注入し、ストリオソームの機能を明らかにする。 さらに、高次認知領野である背外側前頭前皮質、辺縁系である前帯状皮質膝下部、前帯状皮質膝前部、線条体、から計測した電場電位をグレンジャー因果解析によって解析した。悲観的な意思決定時に、高次脳領野から辺縁系領域へのトップダウンの影響が弱まることを明らかにした。研究論文を、 Nature Communications誌に投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、snRNA-seq解析の脳切片作りのプロトコルをブラッシュアップし、ほぼ確立した。それに基づき、カニクイサルからRNA解析用の脳サンプルの採取を引き続き行っている。また、2頭のマカクザルへ行動課題である葛藤意思決定課題の訓練をした。 さらに、これまでデータ解析を行っていた悲観的な意思決定時の辺縁皮質-線条体にまたがる神経ネットワークの情報表現やその相互作用に関する結果を論文にまとめ、さらにその研究論文がNature Communications誌に受理された。現在、マカクザルの線条体へミューオピオイド受容体特異的ウイルスを注入するためのプロトコルの作成や器具の設計を行い、ウイルスによる細胞イメージングの準備を行っている。以上のことから、研究の進行・出版ともに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミューオピオイド受容体に特異的なウイルスをまず一頭のサルへ注入し、そのストリオソームでの分布を組織学的に調べ、ウイルスのストリオソーム特異性検討する。さらに、同じサルで、カルシウムインディケーターを加えたミューオピオイド受容体特異的なウイルスを注入し、そのカルシウム活動をファイバーフォトメトリーで観察し、線条体での細胞の挙動を明らかにする。その後、葛藤課題を訓練済のサルに同ウイルスを注入し、ファイバーフォトメトリーにより、課題遂行時のストリオソーム細胞の機能的な役割を明らかにする。
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Research Products
(4 results)