2021 Fiscal Year Annual Research Report
DNAカーテン上の複製フォーク超複合体の一分子観察
Project/Area Number |
21J40128
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺川 まゆ 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | DNA複製 / 再構成 / 一分子観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA複製とは、生命の維持に非常に重要なイベントの一つである。このイベントにおいて、DNA二重鎖がほどかれながら複製され、最終的に2本のDNA二重鎖ができる。単純なようであるが、複製段階には多くのタンパク質が関与し、そのステップは非常に複雑である。しかし、これまでにその詳細な分子機構は分かっていない。 分子機構の解明が進んでこなかった原因の一つとして、先行研究の多くで細胞の破砕液が使われてきたことが挙げられる。細胞の破砕液の中には、DNA複製に必要なタンパク質がそろってはいるが、DNA複製反応以外の雑多なタンパク質も多く存在している。ゆえに、DNA複製において、どのタンパク質が、いくつ、どのようにDNA複製に関与しているのかといった詳細を調べることが難しかった。 そこで、現在はDNA複製に必要なタンパク質を精製し、条件をコントロールできる状態で実験を行う再構成系を用いてDNA複製の分子機構を明らかにしようという研究が進みはじめている。そして徐々にこれまで見えてこなかった分子レベルの詳細が明らかになりつつある。本研究も、この再構成系を用い、分子レベルでDNA複製の分子機構の解明を目指す。特に本研究では、一分子実験を用いることで、「どのタンパク質」が「どの段階」で「いくつ」反応に関与しているのかを蛍光顕微鏡観察を通して明らかにしたい。 2021年度には、DNA複製の再構成系の実験系を確立するために、まずはDNA複製に最低限必要であるとされている18種類のタンパク質の発現と精製を行った。精製したタンパク質が活性を保持しているのかを確認するため、本年度はDNAへの結合評価・DNA二重鎖をほどくヘリケースの活性評価を行った。これにより、精製したタンパク質の内、11種類のタンパク質の活性は保持されていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はDNA複製に最低限必要なタンパク質の発現・精製を終えることを目標としていた。その点においては順調に計画通り進んだと考えている。しかし、精製したタンパク質のいくつかで活性が評価できない、もしくは活性が非常に小さく確認できない状況でいる。これは想定内であるが、共同研究者にアドバイスを求めたり、どうしても精製がうまくいかないタンパク質に関しては精製したタンパク質を分けてもらうことで、研究を前に進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、精製がうまくいかないタンパク質の発現精製に再チャレンジしながら、自分で精製したタンパク質や共同研究者から分けてもらったタンパク質を用いて、DNAが試験管内で複製されるのかの活性評価を行う。できる限り自分で精製したタンパク質を用いて活性評価を行えるよう努める。それと並行して、DNAカーテン作成のための準備も始めていく。本研究で用いるDNAカーテンには、λDNAが使用される。λDNAはλファージから精製する。λDNAが精製できたあかつきには、まずDNA複製の第一段階であるローディングステップの観察を行ってみる。そのためには、観察するタンパク質に蛍光色素を結合する必要があり、蛍光色素が結合したタンパク質がDNAに結合する機能を失わないかなどのチェックも同時に進めていいく予定である。 最終的には、全ての精製されたタンパク質を反応させ、DNAカーテン上においてDNA複製フォークができていく様子を確認したい。そのために、一つ一つ、活性の評価や蛍光色素の反応への影響などを調べていく。
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