2023 Fiscal Year Research-status Report
強結合場の量子論の新手法と量子重力理論・原子核理論・宇宙物理学への応用
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22KJ1777
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 真隆 名古屋大学, 情報学研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2027-03-31
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Keywords | 共形場理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) Tenfold分類と呼ばれるフェルミオンの対称性の分類に対して,対応するoverlap Dirac演算子を構成した.また,それぞれの対称性に対するGinsparg-Wilson関係式とmod 2指数定理も与えた.さらにこれらの結果をまとめてarXivに投稿した.論文は数理物理の論文誌に投稿中である. (2) O(2)対称性のある2次元理論の巨大電荷セクターに可積分性があることを示した.一般に,理論に化学ポテンシャルを与えると超流動相に到達する場合,存在する対称性を用いて有効作用を書き下し,物理量を計算することができる.このような解析は一般に3次元以上の理論でしか行われていなかったが,今回は漸近自由な2次元理論に関して行った.この解析によって,一般の漸近自由な2次元理論ではこの有効理論にaccidnetalな可積分性があることを示し,論文をarXivに投稿した.可積分性は一般に特別な理論にしか存在しないと考えられており,より一般の理論でも大化学ポテンシャル下で理論に可積分性が発生することは驚きであった.論文はJHEPに投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル相・可積分系と異なる分野に関する論文を2本発表できた.前者ではフェルミオンの格子上での定義に関する知見を与えることができ,後者では一般に可積分ではない理論においても化学ポテンシャルが大きい極限で可積分になるという非自明な結果を得た.これらのように,場の理論や格子状の理論に関する理解が進んだため,研究は順調に進展したといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
フェルミオンを対称性を保ったまま格子状に乗せる方法が分かったので,これを用いてエンタングルメントエントロピーやその"symmetry enhanced"版などを計算 する.これによってアノマリーと格子正則化との関係をよりよく理解する. その他,現在研究中の場の理論におけるエンタングルメントエントロピーとvN代数との関係に関しては,結果を論文にまとめる.
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Causes of Carryover |
年度中に名古屋大学に着任することになり,様々な業務で予定されていた海外出張に行けないことが多かった.一方次年度は業務の割り振りにかかわることができたため,出張の機会を増やすことができる.また,次年度行う数値計算のためにワークステーションを購入する.
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