2022 Fiscal Year Annual Research Report
Adaptive significance and evolutionary mechanism of mutual wing-eating by both male and female in a mating pair.
Project/Area Number |
22J00924
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
大崎 遥花 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2027-03-31
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Keywords | 配偶行動 / ペアボンド / クチキゴキブリ |
Outline of Annual Research Achievements |
リュウキュウクチキゴキブリのペアの行動が配偶行動である翅の食い合いの前後変化するのかを確かめるため、専用の実験容器を自作し、同種他個体の成虫に対するペアの行動を翅の食い合い前後で比較する実験を行った。その結果、翅の食い合いの前は侵入個体に対する攻撃行動が見られなかったが、翅の食い合いの後のペアでは、オスメスともに激しく侵入個体を攻撃する行動が発見された。この行動は侵入個体の性によらず行われ、つまり異性間での闘争が観察されたのである。ペア形成後、番外婚の相手になるポテンシャルも持つ異性侵入個体を配偶相手とともに攻撃する現象であり、これはペアボンドというペアの個体間に形成される心理的繋がりを示す概念がクチキゴキブリにも適用できるのではないかという洞察を得るに至った。ペアボンドはこれまで脊椎動物でのみ報告があり、もしクチキゴキブリがペアボンドを持っていれば無脊椎動物で初となる。クチキゴキブリのペアボンドは無脊椎動物の認知能力の理解を広げる契機となりうる。また、このペアボンド形成のCueが翅の食い合いである可能性があり、翅の食い合いに認知生態学的意義がある可能性が浮上した。 アメリカ、ノースカロライナへの主要渡航を8月より開始し、凍結する冬季を避けて秋と早春にキゴキブリの採集を行った。キゴキブリはリュウキュウクチキゴキブリと同様に社会的一夫一妻を持つ食材性の亜社会性ゴキブリである。キゴキブリのペアを20ペア採集した。完全室内の飼育方法は確率されておらず、実験のためにはこれが不可欠であるため、まずは実験室内での飼育方法の確立に着手した。その結果、クチキゴキブリの飼育方法の応用でキゴキブリの室内飼育を成功させることができた。これは今後の種間比較の基礎となる技術であり、根本的な意義を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡米後の室内飼育を順調に確立することができたため。また、渡米前に行ったクチキゴキブリのペアに別個体を導入する実験から、翅の食い合いの意義の新たな側面が解明されてきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はクチキゴキブリのペアボンドを着実に証明するために嗜好性実験を行う。また、キゴキブリの飼育方法を下に、キゴキブリを使った実験方法を確立し、クチキゴキブリのペアとキゴキブリのペアとの行動の違いを比較する。
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