2022 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of metal-organic soft materials based on quantitative analysis of hierarchical structures
Project/Area Number |
22J01504
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立石 友紀 京都大学, 高等研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 金属錯体多面体 / 金属錯体ソフトマテリアル / 自己集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金属錯体多面体(以下、MOPs)を「空間単位」として定義し、リンカー分子との自己集合によって構築される階層構造(MOSOM)の構造情報をパラメーターとして定量化することで、反応条件や分子設計へフィードバックし、多彩なMOSOMの創出とその機能開拓を目的とする。本年度は、本研究の根幹となる新規MOPsの合成と構造同定、ならびに反応性の評価を中心に研究を進めた。 初めに、新規MOPsとして、カルバゾールジカルボン酸と酢酸ロジウムの反応により八面体型ロジウムMOP(CzRhMOP)を合成し、単結晶X線構造解析によって構造を決定した。さらに、このCzRhMOPは酸、塩基に十分な安定性を有し、強塩基である水素化ナトリウム共存下でもCzRhMOPは分解することなく構造を維持した。この強塩基環境下ではカルバゾールのN-H部位は脱プロトン化されており、この脱プロトン化されたCzRhMOPを臭化アルキル化合物と反応させることで、15種類以上の置換基が新たに導入されたCzRhMOPの合成に成功した。 また、上述のCzRhMOPの構成分子の一部分であるカルバゾールのN-H部位をS原子に置き換えたジベンゾチオフェンジカルボン酸からなる新規八面体型ロジウムMOPの合成し、単結晶X線構造解析により構造同定した。さらに上述のカルバゾール-3,6-ジカルボン酸をベンゼン環1つ分長くした、4,4’-(9H-カルバゾール-3,6-ジイル)-ジ安息香酸と硝酸銅との反応により直径2.8 nm程度の銅MOPの合成と構造解析にも成功した。 上記の通り、本年度は本研究課題を進める上で重要な、大きさや官能基が異なる新規MOPsの合成に成功した。次年度以降は、これら新規MOPsとリンカー分子による自己集合によるMOSOM化に向けた研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究対象である金属錯体ソフトマテリアルを構築する上で重要な構成成分となる金属錯体多面体の合成に注力した。金属錯体ソフトマテリアルの構築にこれまで使われていた既報のRhMOPは立方八面体型のみに限られていたが、3種類の新規八面体型MOPの合成に成功した。これにより、MOPの幾何構造の違いが金属錯体ソフトマテリアルの形成や機能に与える影響を評価できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に合成できた八面体型RhMOPを含めた、RhMOPsとリンカー分子との自己集合による金属錯体ソフトマテリアル形成を行い、反応条件および構造情報を定量化する。八面体型RhMOPは置換基を事後修飾により導入できるため、RhMOPs上に導入された置換基が固体物性並びに金属錯体ソフトマテリアル形成に与える影響を評価する予定である。また、ロジウムからなるMOPから得た知見を元に、金属イオンをロジウムのみならず銅やルテニウム等へと展開する予定である。
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Research Products
(1 results)