2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1810
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳田 和哉 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | フンボルト / 教育哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、初期フンボルトの政治思想を、規範的な陶冶および教育の理論として再構成することを企図している。 そのなかで最終年度は、次の三つの研究成果を得た。第一に、前年度から取り組んでいたフンボルトの政治思想における陶冶論における市民の公共的な精神の涵養を主題とした研究に関して、フランス革命期のドイツにおける政治的論争を含む同時代的な背景に関する資料調査を実施した。第二に、フンボルトの陶冶理論を道徳理論として解釈する研究に関して、フンボルトの1790年代の陶冶理論における善き生の構想を再構成することで、政治思想の理論的基盤としての陶冶理論を整合的に再構成することができた。第三に、初期フンボルトの著作『国家活動の限界』における国家の市民の私生活に対する批判を、同書でフンボルトが行なっている公教育への批判と対照させながら解釈することで、フンボルトにおける国家干渉への批判が、本質的に教育的な働きかけに対する批判としての性格をもつことが明らかになった。 前年度およびこれらの最終年度の研究成果によって、初期フンボルトの政治思想における陶冶理論、および教育の位置付けが明らかにされた。
|