2022 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル反強磁性体における新規スピン軌道トルクの解明
Project/Area Number |
22J12061
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 裕太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | カイラル反強磁性体 / スピントルク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は第一に新規スピントルクが期待されている材料である,L12-Mn3Ir(111)配向薄膜の作成およびその輸送特性評価に取り組みました。 薄膜は(001)配向薄膜を作成した時と同様にRFスパッタ法を用いて作成しました。薄膜作成時の積層温度を変化させることで、規則度および結晶性の制御を試みました。X線回折法による規則度および結晶性の評価を行ったところ積層温度によって、薄膜の特性を制御することが出来ていることが明らかになりました。作成した試料に微細加工を施し輸送特性を評価したところ、これまで作成に成功していた(001)薄膜や多結晶薄膜に比較して顕著な性質を示すことを明らかにしました。これは理論的な予測と一致するものであり、今後新規スピントルクに限らず応用されることが期待されます。 第二に同様に新規スピントルク材料として期待されているMn3Sn薄膜を作成しその熱安定性を評価しました。薄膜はRFスパッタ法を用い作成しました。作成した薄膜の熱安定性をスピントルクによる磁化反転から評価し大きな熱安定性を持つことを明らかにしました。これはMn3Snが新規スピントルク材料として優れた特性を有していることを示しています。 以上の結果をまとめ2報の論文として報告しました。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、本研究の最終目標である新規スピントルクを観測するために結晶配向に着目した物性制御および複数のカイラル反強磁性体の材料開発を行った。理論予想と同様に結晶配向が制御された試料では巨大な輸送特性が観測された。次年度からは新規スピントルクの評価及び新規スピントルクを用いた磁化反転を行う。これらにより、本研究課題の達成が見込まれる
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては当初の予定通り、以下の2つを挙げる ①カイラル反強磁性体における新規スピントルクの観測 ②新規スピントルクを用いた磁化反転の実証 これらに加えて、積極的に国際会議および国内学会に参加し、発表や物性物理の最先端の情報収集を行う予定である。
|