2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヴィラモヴィアン語における接続詞と人称代名詞の融合現象とその類似現象に関する考察
Project/Area Number |
22KJ1838
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下村 恭太 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 危機言語 / 人称代名詞 / 接語 / 再帰代名詞 / 言語接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度には、強勢のない人称代名詞が接続詞に融合する現象について、4つの散文作品を分析し、その結果、人称代名詞の指示対象の有生性と数が融合現象に影響を与えていることが明らかになった。この調査結果は京都ドイツ語学研究会で口頭発表した。 今年度は、2023年3月から9月までドイツのフンボルト大学でドイツ語方言学やドイツ語系少数言語に従事するFleischer教授の指導の下、本研究を進めていた。そのうち約3か月間はヴィラモヴィツェでフィールドワークを行い、質問票を用いた調査や母語話者との会話を録音した。 これまでの研究では音声資料が不足していたため、書記資料をもとに調査を行ってきたが、今回収集した音声データを分析したところ、先行研究における人称代名詞の形態や統語的特徴についての記述が不十分であることが明らかになった。したがって、今後の研究を進めるにあたり、人称代名詞についての記述を修正する必要があることから、融合現象を中心に据えた人称代名詞の包括的な記述を目指すこととした。 人称代名詞に関連する再帰代名詞の使用に関して、ポーランド語の影響という視点から調査したものを12月1日にポーランドで口頭発表した。この内容をもとに論文を執筆し、現在査読中である。また、今年度の課題に挙げていた「2人称単数代名詞接語形と人称代名詞の省略 (pro-drop)との関連性について」では、音声資料を対象とし、専ら人称代名詞の省略現象に着目した分析を行った。その結果をまとめ、論文を執筆し、現在査読中である。 さらに、ヴィラモヴィアン語のコーパス作成に関しては、海外の研究者と共に取り組んでいる。このコーパスの完成・公開に向けてヴィラモヴィッツェの団体などと交渉中である。ただ、コーパスの公開時期については未定であることから、著作権の切れている1907年の作品を英語と日本語に翻訳し、今年の5月末に投稿予定である。
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