2023 Fiscal Year Annual Research Report
The role of Pri micropeptides in epithelial invagination
Project/Area Number |
22KJ1871
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 苑子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロペプチド / 上皮組織形態形成 / 転写制御 / 胚発生 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
胚発生の過程では、元は平坦な上皮シートが陥入を繰り返しながら複雑な組織の3次元構造を形成していく。上皮シート陥入の代表的な例が、ショウジョウバエ胚の気管原基の陥入である。所属研究室は以前、気管原基が11及び32アミノ酸長のマイクロペプチドをコードするpolished rice (pri)を発現しており、priを欠損した胚では気管原基の陥入が不全になることを見出した。そこで本研究では、Priペプチドが気管原基陥入を制御するメカニズムの探究を開始した。令和4年度には、pri 欠損胚の気管原基は陥入する細胞の数が少なく陥入が浅いことを示し、さらにpri 欠損胚では気管原基陥入の主要制御因子であるTrachealess (Trh) をコードする遺伝子の発現が減弱することを明らかとした。 令和5年度には、Priがtrh 遺伝子の発現を制御する分子メカニズムの解明を進めた。trh遺伝子の発現はJAK-STATシグナルによって活性化されることが知られているが、解析の結果、pri欠損胚においてもJAK/STATシグナルは正常胚と同様に活性化していた。さらに、JAK/STATシグナルの欠損胚においてもpri mRNAの発現に変化は見られなかったことから、PriはJAK-STATシグナルとは独立にtrh遺伝子の発現を制御することが示された。Priは、幼虫の表皮突起形成において転写因子Shavenbaby (Svb)のプロテアソーム分解依存的な活性化を媒介することが知られている。本研究で、svbが、気管原基陥入が起こる中期胚において、気管原基を含む胚表面の上皮組織全体に発現していることを見出した。さらに、svb変異胚ではtrh遺伝子の発現が減弱する傾向が示された。これらの結果は、PriがSvbの活性化を介してtrhの転写発現を活性化することにより、上皮シートに陥入する能力を与える可能性を示す。
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