2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Impact of Refugee Education on Career Development: A Case Study of Myanmar Refugees in Thailand
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22J15175
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 彩加 京都大学, 総合生存学館, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ミャンマー / タイ / 避難民 / 難民 / 教育 / 職業訓練 / キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国境を越え移動してきた避難民に対して難民キャンプ内外で行われている教育及び職業訓練が、難民のキャリア形成にどのような影響を与え、将来の戦略を方向づけるかを明らかにすることを目的とする。本研究は、隣国から多くの難民や移民を受け入れるタイ北部のメーソットにおいて、 特にミャンマーから移動し難民キャンプ内外で教育を受けている避難民を対象にする。 令和4年度は、チュラロンコン大学アジア移民研究センターのPremjai上級研究員に受け入れをしていただき、タイにてフィールド調査を実施した。 ①バンコク、チェンマイ及びメーソットにおいて、避難民支援を行っている支援機関に対して対面及びオンラインにてインタビューを実施した。特に避難民に対して、教育支援を実施している組織、もしくは職業訓練を実施している組織に絞り、彼らが実施している支援内容、直面している障壁、それらを乗り越えるための取り組みなどを重点的に聞き取りを行った。 ②タイ北部ターク県の避難民キャンプにて、避難民キャンプ内に居住する学生、卒業生、その保護者に対して教育、職業訓練に関するサーベイ調査を実施した。彼らが感じている職業訓練の有用性、将来に対する不安や障壁、将来に対する希望などを調査した。 ③3年以内にミャンマーからタイに移動してきた人に対してインタビューを実施した。移動した経緯、タイに移動してきてからの教育もしくは職業訓練の経歴、将来に対する不安や障壁、希望などに関して聞き取り調査を行った。 ④3月末にはチュラロンコン大学アジア移民研究センターが主催、国際高等研究所が共催の「Mini seminar on Development of Migrant / Refugee」の運営を担った。移動後のdevelopmentに関する発表を行い、参加者によるディスカッションを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年5月にタイに渡航し、現地調査を開始した。2022年7月にタイ国内において新型コロナウイルスに関する規制緩和が行われるまで、調査地のメーソットに訪れることができておらず、支援機関へのオンラインでのインタビューを実施していた。7月以降は対面でのインタビューも積極的に実施した。オンラインでは録音の危険性もあり、インタビューに難色を示す組織に対しても、対面でのインタビューを行うことにより先方の懸念が払拭され、より多くの情報を手に入れることができた。 調査地であるメーソットへ訪問できるようになり、避難民へのインタビューを実施することができ、またネットワークを構築することができた。一方で、メーソット内の組織への訪問予定がうまくいかず、予定していた時期に行うことができないことも多々あった。しかし、メーソットの中で訪問が叶わなかった箇所に関しては、2023年度に訪問する約束を交わすなど関係性の構築をすることができた。またさらに紹介をしてもらった支援機関にインタビューを行うことができるなど、予定より多くの組織へのインタビューを実施することができた。 一方で、避難民に対する調査において様々な条件が揃わず、研究計画から大幅に遅れてしまった。しかし、受け入れ先であるPremjai先生のご協力の元、2023年2月に実施が可能になり、サーベイ調査を3月に実施することができた。 さらに、2023年3月に難民と移民に関するミニ国際セミナーを主催した。ここで得た知見をもとに2023年の調査及び2023年度に予定しているwebinarを実施する予定である。 2022年度に予定していたインタビュー調査、サーベイ調査は全て実施することができた。一方で、年度末に実施が可能になった調査もあり、分析や発表、論文執筆は年度内に行うことができなかった。そのため、2023年度に得たデータの分析などを引き続き行う。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は2022年度に引き続きチュラロンコン大学アジア移民研究センターのPremjai上級研究員にvisiting researacherとして受け入れをしていただき、2023年9月までタイ国での現地調査を実施する。 <2023年4月-9月:現地調査>①2022年度にインタビューが実施できなかった避難民へ教育、職業訓練実施している支援機関に対して、インタビューを実施する。タイ北部のメーソット、支援機関の事務所があるバンコク、チェンマイにてインタビューを実施する。②メーソットにて、避難民へのインタビュー調査を行う。職業訓練に関する情報をどのように得ているのか、職業訓練後の就職への有用性などに関してインタビューを実施する。③6月-7月頃(日程未定)に国際webinarを開催する。このwebinarでは避難民のキャリアの障壁及び乗り越え方がテーマであり、研究者及び実務者とのテーマに関する議論を実施する予定である。その結果をworking paperなどで公表する。
<2023年9月以降>日本に帰国した後は、1)得られたデータをもとに投稿論文を執筆すると同時に学会発表を行う。2) 2023年度の博士号取得を目指し、博士論文の執筆に注力する。
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Research Products
(1 results)