2022 Fiscal Year Annual Research Report
African and Asian Slaves in Dutch East India Company's Nagasaki Factory and Canton Factory during 17th-19th Century
Project/Area Number |
22J20765
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳 一菲 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | オランダ東インド会社 / 奴隷 / 長崎 / 広州 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、長崎と広州のオランダ東インド会社(以下、VOCと略す)商館に連れてこられたアフリカ、南アジア、東南アジア出身の奴隷や召使の実態を実証的に解明し、17世紀初頭以来オランダ人のアジア進出に伴う奴隷の利用・輸送・交易活動の全貌に対する理解を深めることを目指す。
本年度はVOCの長崎商館におけるアフリカ・アジア出身の奴隷・召使を中心として研究を行った。研究方法として、第一にオランダ側の1633年―1860年の『オランダ商館日記』(1834年―1842年の欠落の部分を除き)や、オランダ国立公文書館に所蔵される他の日本商館文書の目録を通読し、日本商館文書に見えるオランダ人の奴隷・召使に関する部分を収集した。第二に、『通航一覧』や『長崎古今集覧』など17世紀―19世紀の長崎に関わる日本側の史料を収集し、オランダ人の奴隷・召使に言及する部分を整理した。第三に、「かぴたん部屋建替絵図」「出島図」など出島商館に関わる絵画史料に目を通し、オランダ人の奴隷・召使が住んでいた「黒坊部屋」の位置の移り変わりを解明した。
本年度の研究を通して、1633年から1860年まで平戸・長崎商館における奴隷・召使の人数・出身地・年齢・死亡状況などの基本情報を把握することができた。また、長崎奉行は1801年日本に漂着したマカオ船の異国人乗員を調査したとき、オランダ人の奴隷・召使もマレー語の通訳を協力したことを明らかにし、この研究成果を論文として公開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では史料の収集・解読はほぼ計画通りに進んでおり、特に日本商館文書の未刊行部分から新史実を発掘できた。さらに奴隷と所有者の関係を考察し、VOCの長崎商館における奴隷の性質を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の前半では2022年度の研究成果を整理して論文化の作業を進め、後半では以下の二つの方向で研究を推進する予定である。 (1)2022年度の史料収集で、第13代オランダ商館長ピーテル・アントニスゾーン・オーフルトワーテルは台湾ラメイ島出身の召使を所有していたことを確認した。この背景をさらに解明するために、1630年代に起こったラメイ島虐殺事件およびオランダ台湾統治時代におけるオランダ人の奴隷使役の具体的な様相を解き明かす。 (2)インドネシア国立公文書館所蔵の『オランダ東インド会社とその後継機関の総督およびインド評議会(政庁)文書、1612―1811年(Archief van de Gouverneur-generaal en raden van Indie van de Verenigde Oostindische Compagnie en taakopvolgers, 1612-1811)』などの未刊史料を使って、バタヴィア政庁が奴隷に関して下した決議を研究し、バタヴィア政庁が会社職員の奴隷に対する認識を解明し、長崎商館における奴隷と所有者の関係や奴隷の性質をさらに検討する。
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Research Products
(1 results)