2023 Fiscal Year Research-status Report
RIM法を応用したPIV流速計測による河川の乱流輸送過程と樹林化メカニズムの解明
Project/Area Number |
22KJ1958
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 知将 京都大学, 防災研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 乱流構造 / 河道内植生 / 礫床流れ / 浮遊砂輸送 / 屈折率整合法(RIM) / PIV |
Outline of Annual Research Achievements |
河道内の植生動態を予測し,適切な河川管理に応用するためには,樹林化の素過程である植生群落内部および背後への細粒土砂の輸送堆積過程について詳細に解明する必要がある.本研究では水理条件や植生要素の配置・柔軟性などの諸条件を系統的に変化させて流速計測を実施することで,植生群落近傍における質量・運動量輸送過程の解明を試みる. 河道内に偏在する柔軟植生群落近傍における二次流構造とその浮遊砂輸送への影響を明らかにするために,直線実験水路において流速計測および浮遊砂投入実験を実施した.植生群落の下流側領域(後流域)を対象に,計測断面を細かく設定して鉛直面・水平面PIVを繰り返し実施することで,後流域の三次元的な乱流構造および二次流構造を計測した.また,群落背後における浮遊砂堆積量の計測を行い,PIVによって明らかになった乱流・二次流構造と浮遊砂堆積領域の比較を行った. 次に,水路右岸側に植生群落が偏在する開水路流れを対象に,水路実験を通じて植生群落近傍の乱流・二次流構造を明らかにした.群落幅=水路幅比が乱流構造および二次流の発達に及ぼす影響について考察するために,植生群落の横断方向幅のみを変化させた複数ケースを実験条件として設定した.鉛直面PIVおよび水平面PIVによる流速計測を実施し,植生群落近傍における平均流の遷移過程および鉛直・水平混合層の発達過程を明らかにした.また,鉛直面PIV・水平面PIVを組み合わせた二次流計測を実施し,植生群落近傍において渦状の二次流が発達することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植生流れの流速計測について当初の計画通りに実験を実施し,研究を遂行することができた. 柔軟植生群落流れの流速計測により,柔軟植生群落背後では剛体植生流れよりも顕著に二次流が発達し,二次流による運動量輸送への寄与が乱流混合による寄与よりも大きくなることが明らかになった.また,浮遊砂堆積実験の結果から,柔軟植生群落背後では二次流が浮遊砂輸送に寄与し,剛体植生のケースよりも堆積量が増加することが示された. 片側植生流れを対象とした流速計測実験では,植生要素先端付近の鉛直混合層における乱れの生成は群落幅が広いケースほど活発になる一方で,植生群落外縁近傍の水平混合層における乱れの生成は群落幅=水路幅比が60%程度のケースで最大となることが示された.また,群落幅=水路幅比が60%程度のケースでは二次流構造も最も顕著に発達しており,群落近傍の乱流構造が二次流の生成過程に寄与することが示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として,植生群落の流下方向長さによる平均流・乱流構造の変化が植生群落近傍の二次流構造および浮遊砂輸送に及ぼす影響を解明する必要がある.また,植生要素の柔軟性が質量・運動量輸送過程に及ぼす影響を明らかにするために,柔軟植生流れにおける流速と植生変位をPIVおよびPTVによって同時計測し,乱流の組織構造と植生揺動の相互作用についてより詳細に考察する必要がある. 次年度も継続して実験を行い,以上の未解明点の解明に取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
論文著者負担金の支払いおよび海外渡航予定が次年度に変更となったため. 上記の支払いおよび旅費に使用する予定である.
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