2023 Fiscal Year Research-status Report
両側回遊生物による河川生態系への海洋資源輸送における種多様性効果
Project/Area Number |
22KJ1960
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 良輔 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 生態系間資源輸送 / 両側回遊性 / 生物多様性ー生態系機能関係 / 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
生態系間を移住する動物による資源輸送において、移住者の種多様性は輸送量の増大や輸送期間の長期化が起こり、受け手の群集や生態系にインパクトを規定している可能性がある。本研究では、低・中緯度地域の多様な両側回遊性魚類・甲殻類による河川への海洋由来資源輸送をモデルとして、(1)資源輸送機能(輸送量・輸送期間)における種多様性効果の仕組みを解明すること、(2)河川生態系の高次捕食者に対する海洋由来資源の貢献度を定量することを目的としている。 2023年度は、多様な両側回遊性生物の海洋資源輸送量や輸送期間の定量を行うために、和歌山県田原川において、1週間に一度の遡上個体の捕獲調査を行った。その結果、9種の両側回遊性魚類と複数種のエビ類の遡上個体が種ごとに異なる季節性で1年間を通して捕獲された。また、捕獲された両側回遊性魚類について、海洋由来資源の指標となる硫黄安定同位体比を測定した結果、種間や種内(体長や遡上タイミング)で大きく異なる場合があることが明らかとなった。これらの結果は、生態系間資源輸送における種多様性の役割を紐解くためには、個々の種や個体の自然史に基づいて全体の資源輸送について定量する必要性があることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1週間に一度の1年間の両側回遊性生物の捕獲調査を遂行し、本研究の核となる遡上量や遡上期間に関するデータを取得した。また、硫黄安定同位体比分析を実施し、両側回遊性生物遡上個体の体組成における海洋資源の度合いに自然史に基づく種間・種内差があることを確認した。これらから、多様な両側回遊性生物が純淡水域への海洋資源輸送に役割を明らかにする本研究の核となる解析に進むことができた。そのため、おおむね計画通りに進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、両側回遊性生物の体組成における海洋資源の度合いの種内・種間差、および両側回遊性生物の遡上量、遡上期間のデータから、海洋資源輸送量や輸送期間の定量を試みる。その上で、海洋資源輸送両側回遊性生物の種多様性関係の解析を進める。 また、両側回遊性魚類による海洋資源輸送を高次捕食者がどのように享受しているかを検討するために、捕食者の水晶体の硫黄安定同位体比分析から餌履歴を検討する。 さらに、海洋資源輸送期間における種内多様性の役割も検討する予定である。具体的には、海洋分散を通して異なる地域の個体群が異なるタイミングで河川に加入することで海洋資源輸送期間が規定されているかを、集団構造を確かめることで検討する。 博士論文の執筆を行い、両側回遊性生物の種多様性と資源輸送機能関係の解明とそれの河川生態系の消費者へのインパクトとして、野外調査、安定同位体比分析の結果をまとめる。更に国際的な学術論文雑誌に論文を投稿するとともに、国際学会への参加も含めて、学会発表を積極的に行う。
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