2023 Fiscal Year Research-status Report
トカゲの果実食が森林種子散布共生系に果たす機能と意義:日光浴と指向性散布の関連性
Project/Area Number |
22KJ1976
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福山 亮部 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 種子散布 / 爬虫類 / 果実食 / マダガスカル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度には10月から3月にかけて、マダガスカル北西部アンカラファンツィカ国立公園でのフィールド調査を実施した。調査ではキュビエブキオトカゲ、ウスタレカメレオン、ヒラオオビトカゲの3種のトカゲを対象とし、数日間飼養して得た糞の内容物に種子が含まれるかを調べた。調査では渡航期間を通じて300個体以上のトカゲ類を捕獲し、糞分析を行った。その結果、捕獲個体の約三分の一が果実を捕食していた。また、野外での直接観察による果実食の記録も複数回行うことができた。また、得られた糞内の種子で実施した発芽実験により、トカゲの胃内を通過した種子が発芽能力を有していることも確認された。これらの結果は令和6年度に国内外の学会で発表するとともに、年度内の論文投稿を目指している。 また、トカゲ類に発信器を呑ませて糞として排泄される地点を特定するという手法に関しても、令和4年度から継続的に実施した。この手法に加え、発芽実験の知見をもとに野外種子の生存率に関する調査も開始した。これらの成果は令和6年度に追加調査を実施することで、論文化を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の結果を踏まえ雨季に長期調査を実施し、多くの追加データを得ることができた。種子の発芽実験で得られた知見から追加実験の計画も立て、今後の方針を決めることができた。 今回得られた追加データを初年度のデータに加えることで、令和6年度中に1報目の論文を執筆できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果は2報の論文として公表する予定である。これまで得られたデータをもとに、年度内に1報目の論文の投稿を行う。そして2報目の論文に必要な追加データを、雨季に2度マダガスカルへ渡航し、追加調査を実施することで得る。また、国内外の学会に参加し、研究結果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度の予算は、海外調査旅費と調査に必要な物品購入に充てる予定であった。しかし、円安と原油高の影響により旅費、物品ともに想定以上の高騰となってしまい、科研費のみでの調査を行うのが難しくなった。そのため、新たに外部資金(学振との併給可のもの)を獲得し、外部資金を旅費にあて、科研費を物品購入に充てることにした。 次年度も同様の理由で資金不足に陥る可能性が懸念されたため、一部の予算を次年度に回すことで、調査をより滞りなく行えるようにした。
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