2023 Fiscal Year Research-status Report
SPH法による氷衛星の内部海の三次元数値流体シミュレーション:コード開発と応用
Project/Area Number |
22KJ1981
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村嶋 慶哉 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | SPH法 / 氷衛星 / 状態方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の観測により、EuropaやEnceladusといった氷衛星で、氷殻表面の割れ目から水蒸気が噴出していることがわかっている。これは表面の氷殻の下に液体の水の領域(内部海)が存在していることを示唆している。液体の水は化学反応を支える溶媒で、生命の誕生に必要不可欠な要素の一つであると考えられており、氷衛星の内部構造、特に温度の分布と進化について理解することは重要なことである。そこで、内部海の形成・維持に関係している物理過程(潮汐加熱、熱伝導、放射冷却、相転移)を導入した三次元流体数値シミュレーションを行うことのできるSPH法のコードを開発した。この内容に関しては、現在論文を執筆し、投稿作業中である。 また、本年度からSPH法を天王星における巨大衝突のシミュレーションにも適用し、本来の計画からさらに発展させた研究も行なっている。これまでの天王星の巨大衝突の数値計算に用いられてきた状態方程式は統一されておらず、また、形成される周天王星系円盤の物理特性も研究によって異なる結果が得られている。そこで、巨大衝突によって形成される周天王星円盤の物理特性の状態方程式依存性の調査を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SPH法のコードの開発は完了したが、論文の査読・公正に時間がかかっており、計画していた論文の出版には至っていない。 その一方で、開発したコードを天王星における巨大衝突のシミュレーションにも適用し、巨大衝突によって形成される周天王星円盤の物理特性の状態方程式依存性を行っており、総合的に進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず開発したコードの応用として潮汐変形が大きな仮想的な系に適用し、パラメータとして衛星の内部構造、惑星と衛星の質量比、公転軌道の離心率・赤道傾斜角・ 平均半径などを変化させ、大量のパラメータスタディを元に統計的な議論をより詳細に行うことを計画している。 また、天王星の巨大衝突のシミュレーションに関しては、形成される周天王星円盤の物理特性の状態方程式依存性を調べたのち、形成された円盤から衛星が形成される過程を解析的な計算やN体計算を用いて調べることで、巨大衝突から衛星形成までの過程を統合的に議論することを計画している。
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Causes of Carryover |
学会の参加費・旅費が予定していたよりも安く抑えられたため。 来年度の参考書の購入費に当てる予定である。
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Research Products
(2 results)