2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Paris Peace Conference and the 'sensitive partner' Japan: The Racial Equality Proposal as the ideological diplomacy
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22J22737
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江 子正 京都大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | パリ講和会議 / 人種平等提案 / 北京政府外交 / 大正日本外交 / 国際関係史 |
Outline of Annual Research Achievements |
人種平等提案と中国の反応について探求するのは今年の主要なテーマである。先行研究の状況をまとめ、『吉野作造研究』でレビュー論文を発表し、今後研究の土台となった。夏までに台北中央研究院近代史資料館にある北京政府の外交文書をまとめた。東京での資料調査・授業聴講を踏まえ、人種平等提案と中国との繋がりについて、イギリスBAJS(British Association for Japanese Studies)学会で研究発表を行った。いただいた意見などを参考にし、日本国際政治学会においても新しく整理されたものとして研究報告を実施した。年末には一本の論文をまとめ、今現在は投稿する準備に向けて調整するところである。日本が行った人種平等提案について中国はなぜ賛成を決めたのか、いかなる思惑や配慮があったのか、そして、人種平等提案の「取引材料説」は何なのか、史実なのかについて、今年度では明らかした。もちろん、こういった主要トピックのほか、イギリスでの資料調査などは次年度からの研究遂行にとっても極めて有利な基礎を築いたと言える。今後さらなる資料調査を深化し、研究の完成度を高めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この一年間、様々な制限の中に研究を推進することができた面もあれば、改善すべき面もあると言える。 まず、コロナ禍中に海外渡航がまだまだ困難であった今年の前半は、東京での資料調査や、台北中央研究院近代史研究所にある資料を精査したと言える。これまで取り扱われていないテーマであるが、多くの量が存在する一次資料を集めることができた。 そして、各国の水際政策の緩和を鑑み、初めての海外出張・学会報告を行うことが可能になりつつあった。こうした状況の中で、イギリスマンチェスター大で行われるBAJS学会で報告を行い、好評を得たと言える。そして、バージョンアップして、日本国際政治学会でも研究報告を行い、価値の高いコメントや質問をたくさんいただいた。その成果をまとめ、論文一本を書くことができた。 改善すべきところとしては、今年は学会報告に集中し、論文は一本発表すみであったが、もう一本の執筆が遅れている。また、イギリスにおける史料調査に関しても、二週間の滞在では慣れていないところが多く、今後より長く滞在する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
改善すべきところとして、まず、学会報告というよりも、研究自体の推進と論文の発表に専念したい。今年中の学会発表は一回のみにし、論文の執筆を推進したいのである。 そして、海外における資料調査も、より長く滞在が必要である。2023年度の計画として、5月から二ヵ月間のイギリス・ヨーロッパ滞在、九月から二ヵ月間のアメリカ滞在を計画しいる。
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