2023 Fiscal Year Research-status Report
数理モデルによる土壌中の鉱物吸着態有機態素の動態解析
Project/Area Number |
22KJ1991
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 夏子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 土壌有機態窒素 / 土壌鉱物 / アミノ酸吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、国際学会で審査ありの口頭発表をオーストリア、ウィーンで開催されたEGU学会で行った。現在、論文を執筆中である。 Kitagawa, N., Watanabe, T., Sawada, K., Kunito, T., Funakawa, S. Sorption reduces alanine mineralization in volcanic soils. European Geoscience Union, General assembly, April 2023, Vienna.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、有機体窒素の土壌中での動態の特徴を明らかにすることである。これまで、タンパク質や複素環に含まれる高分子有機態窒素の脱重合反応が有機態窒素の土壌中での循環の律速になっていると考えられていたが、本研究の特徴としては、脱重合化されたのちの単量体有機体窒素(例えば、アミノ酸など)が土壌鉱物に吸着していることが律速になっているのだと考えた。培養実験とモデルを組み合わせることにより、脱重合と吸脱着がどのような関係にあり、どのような場合にどちらの反応がより律速になるのかを明らかにしたいと考えていた。一方で、アミノ酸の吸着実験を通して明らかになったこととして、アミノ酸の性質と土壌鉱物の性質だけでなく、土壌中に存在する有機物の量もアミノ酸の土壌への吸着に大きく影響していることである。 そこで、土壌の有機体窒素の動態を正しく理解するためには、アミノ酸の吸着様式をより詳しく見ていくことが必要だと考え、当初想定していたよりもアミノ酸の土壌中の吸着に着目した実験を進めることとなった。これまでの実験では、アミノ酸は一般的に正に荷電しているものの方が土壌鉱物によく吸着する傾向がある一方で、火山灰土壌などの変異荷電を多く持つ土壌では正、負、どちらの荷電を持つアミノ酸でもよく吸着されることが明らかになった。 さらに、土壌粘土鉱物の種類や土壌化学特性の違いに関係なく、有機物が多い土壌では、吸着力も弱いことがわかった。これは、アミノ酸の種類に関係がないことからも、土壌鉱物に直接吸着しているのではなく、土壌鉱物に吸着している有機物に2次的に吸着しているためだと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、研究の進捗がよくなく、つまずく点が多かったが、成果のみを老いも飲めるのではなく、研究する意義、私の研究が社会のもたらす貢献、なぜこの研究を進めるのかなどについて、深く考える時間を取ることができた。 また、研究手法に関しても、かなり多くの時間を割いて、自分が目指す結果を得るためにどのような実験を行うべきかについても、文献をもと様々な予備実験を行って進めてきた。 このように、目先の成果を追い求めるのではなく、じっくり考えて研究に向き合える時間を持てたのはよかったが、残り1年となった今では、これまでに立て直して研究計画をもとに実験と論文執筆に邁進する所存である。
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Causes of Carryover |
実験の進捗が芳しくなく、消耗品購入が想定よりも少なかった。次年度の実験の消耗品と学会参加費のために昨年度のみ使用額を使う予定である。
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