2023 Fiscal Year Research-status Report
「児童虐待」問題のフレーミングと対応実践の連関に関する研究:日仏韓国際比較から
Project/Area Number |
22KJ2015
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
相澤 亨祐 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 児童虐待 / フレーミング / 構築主義 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会の成員に共有された「児童虐待」問題への理解の枠組み(=「フレーミング」)が、社会の成員によるミクロなレベルの児童虐待対応「実践」とどのように連関しているのかを日本、フランス、韓国の3か国比較から明らかにすることを目的とする。 今年度は日本、韓国に加えて、フランスにおける児童虐待の社会問題化過程を分析するため、フランスの政府議事録や公文書、新聞記事を収集し、分析を行った。また、フランスにおける児童虐待対応実践についてのデータを収集するため、フランスの児童福祉関連施設の職員らにインタビュー調査を行った。その結果を日本や韓国での調査結果と比較検討した結果、フランスの児童虐待は社会階層や人種といった社会成員の多様性と関連付けて問題化されており、そうした関連付けはミクロな対応実践においても反映されているということがわかった。 また、昨年度に引き続き日本や韓国における児童虐待の社会問題化過程の分析や、児童養護施設における継続的な参与観察などの実地調査も行った。今年度は特に定量的なアプローチを導入し、時系列データ分析に用いられる統計的モデルなどを用いて分析を行った。その結果、ある社会における児童虐待に関連したマスメディア報道の増加はその社会におけるその後の児童虐待の発見率を高めるのではないか、といった頑健性の高い知見が得られた。こうした研究成果の一部を、2023年10月の日本社会学会大会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部当初の予定とは異なってはいたものの、予定していたフランスにおける児童虐待の社会問題化過程と対応実践の分析を進められている。また、定量的なアプローチを導入したことで、児童虐待の社会問題化過程と対応実践の連関を分析するという本研究の目的に向けた方法論的な課題も、解決されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めてきた、日本、フランス、韓国についての調査結果を整理し、本研究が目的とする児童虐待の社会問題化過程と対応実践の連関の分析を中心に研究を進める。また、これまで行ってきたデータの蓄積のさらなる充実化と、頑健性の高い知見を析出するための方法論の吟味についても、引き続き取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
当初はフランスへの渡航費、滞在費を予算に盛り込んでいたが、当初に調査協力を依頼していた人物の要望でオンラインでのインタビュー調査となり、渡航費、滞在費が必要なくなったため。 次年度は、可能な限り現地に渡航し実地での調査・インタビューを行いたいと考えている。
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