2022 Fiscal Year Annual Research Report
現代ラテンアメリカにおける先住民の「複数拠点生活」
Project/Area Number |
22J40139
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
大橋 麻里子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-07-01 – 2025-03-31
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Keywords | メキシコ / トウモロコシ / トルティージャ / タコス / ラテンアメリカ食文化 / 移民と食事 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ラテンアメリカ先住民にとっての「地域発展」とは何かを、政府や国際機関が掲げる開発目標とは別の視点から考察するものである。そのために、フィールドワークを実施し、ペルーとメキシコにおける先住民の人びとが、複数の場所に拠点を設けながら生活を営む実態を明らかにすることを試みる。2023年度は、生活を維持していく上で欠かすことのできない「食の獲得・維持」について、「慣れ親しんだ食事(伝統食)」について明らかにするために以下のことを行った。
(1)ラテンアメリカ食文化に関する文献整理を行った。メキシコのタコスは日本国内でもよく知られており、またスペイン語や英語での一般書も存在するが、学術的な調査(地域差の比較など)は進んでいないことが明らかとなった。 (2)新型コロナウィルスの流行を理由に、2022年度は延期した海外フィールドワークを2023年度は実施することができた。2024年2月14日から3月10日にかけて メキシコに渡航し、ユカタン州とメキシコシティをフィールドとして調査を進めた。「トルティージャ」はトウモロコシを粉にした後に生地にし、焼いたものである。 現地調査の結果、やはり多くのメキシコの人びとにとってトルティージャはなくてはならないものであったが、一方で、トウモロコシを自家栽培・利用している地域は限られていた。また、トルティージャで使われるトウモロコシの種類や調理方法は多様に存在しており、例えば、地域によっては黄色いトウモロコシだけではなく、青や赤の品種が使われたり、同じ生地から作っても大きさや形、調理方法が変われば、別の名前で呼ばれていた。生産地が限られているとはいえ、その中身は地域性に富んでいることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、メキシコでのフィールド調査を実施し、一次データを収集することができた。しかしながら、当初計画していたフィールドワークを新型コロナウィルスの流行を理由に延期しているため、全体として研究はやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)今後は、引き続きメキシコでのフィールドワークを通して、メキシコ国内における主食作物をめぐる生産や利用の「地域差」の詳細を明らかにすることを継続して行なっていく。
(2)複数の場所を行き来する人びとが、本拠地(出身地域)特有の食べ物をどのように獲得しているのか、あるいは、獲得できない場合にはどう対応しているのかを、明らかすることを目指す。そのために、「移民」や「移動を繰り返す人びと」を対象に聞き取り調査を実施する。
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