2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J23173
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
要石 就斗 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 寒冷刺激 / 接触皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は以下とおり、寒冷暴露により機能変化を生じる細胞群の決定とその機能変化の解明を進めた。 前年度までの実験によりマウスへの全身の寒冷暴露により、接触過敏反応(Contact hypersensitivity: CHS)の惹起相で炎症反応が減弱することを示した。好中球、樹状細胞、T細胞などの免疫細胞の皮膚への浸潤が減少していることを確認したが、1つの細胞群に注目するために、一連の反応の始まりである角化細胞を選択した。表皮でのqPCRでIL-1αの産生が低下していることから、寒冷暴露により表皮角化細胞での IL-1αを含むPAMPs/DAMPsの放出が抑制され、CHS全体の炎症が低下していると仮説立てた。これを検証するために、まず寒冷暴露により炎症反応が低下した状態にIL-1αの耳介局所投与を行った。その結果、IL-1α投与群において炎症反応がある程度再誘導されることを確認した。次に寒冷暴露時に角化細胞がどのような変化を来しているかを網羅的に調べるために、寒冷暴露下でCHSの炎症を起こした表皮のbulk RNA seq.を行った。平温でのCHSで有意に上昇していた遺伝子は253個、寒冷暴露下でのCHSで有意に上昇していた遺伝子は267個検出された(q value<0.05, Fold change >1)。GSEAによるエンリッチメント解析では、平温でのCHS群でAntioxidant activity(GO:0016209)、Cellular response to toxic substance(GO:0097237)などの酸化ストレス関連のものが上位にみられた。またすでに示しているように、寒冷暴露下のCHSではIL-1αの低下、IL-1 signalingの低下がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの実験データから、主にVivoでの表現型が得られており着目する細胞も決まっている。さらなる分子メカニズムの解明のため、網羅的データから得られた分子をVivo、Vitroで検証することで一通りの結論が出ると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seq.のデータから、寒冷暴露下ではCHSの正常な応答である酸化ストレス反応が起こっていないと予想される。これを検証するために、初代培養角化細胞を用いて温度変化とハプテン刺激による角化細胞のROS産生、それに続く細胞外ATPの産生を評価する予定である。また寒冷暴露下で酸化ストレス反応が起こらない機序の解明として、抑制性に働く因子の抽出、TLRの認識機能の評価、角化細胞での熱産生などに着目して進める予定としている。
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