2023 Fiscal Year Annual Research Report
緊急入院した認知症高齢者の生活自立度を悪化させる要因の探索
Project/Area Number |
22KJ2032
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川北 瞳 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症 / 適時診断 / 医療資源 / 認知症初期集中支援 / 地域連携 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
「緊急入院した認知症高齢者の生活自立度を悪化させる要因の探索」については、新型コロナウイルスの感染拡大により長距離移動や病院への立ち入りが制限されるなど想定外の事態が生じたため、地域在住の認知症高齢者が入院するまでの経過を精査する個別研究へと移行した。本研究ではA県の認知症初期集中支援チームの協力を得て記述的な記録を中心に文献調査を行い、入院前の日常生活自立度が入院関連機能障害の発生や予後に強く影響する可能性を明らかにした。 上記に加えて副次的な研究として、「認知症の適時診断・ケアサービスの利用促進要因を明らかにする研究」を実施した。これは認知症の適時診断・ケアサービスの利用を促進しうる人的・物理的・社会的な医療福祉資源は何か同定する目的で行う社会疫学的研究である。本研究ではAndersenのヘルスケアサービス利用行動モデルを概念的枠組みとして採用し、変数として扱う物理的・人的・社会的な医療福祉資源を理論的に設定した。調査は過去の国勢調査など公的統計による文献調査と、A県において医療福祉専門職を対象とした質問紙調査を組み合わせ実施した。質問紙調査はオンライン回答も可能としたため、オンライン回答プラットフォームを整備し研究期間中運用した。質問紙調査の結果として、1437名への配布に対してn=533(回収率37.1%)の回答が得られた。また、多変量解析の結果、認知症の適時診断・ケアサービスの利用頻度に有意に影響している医療福祉資源として「医療福祉専門職間の地域連携の良さ」および自治体の住民の総合的な健康状態を示す「健康指標」が得られた。これは認知症の適時診断・適時ケアを地域の包括的な健康施策の中に位置付けて推進することの重要性を強調しており、今後の地域共生社会の実現に向けた検討においても有用と考える。本研究の成果は国際学術誌へ投稿すべく取りまとめを進めている。
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