2022 Fiscal Year Annual Research Report
周期流における魚型ロボットの作業効率の向上に向けた尾ひれによる泳法の提案
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22J10430
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯田 佳孝 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 魚型ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,波の中で前後左右に自在に移動できる魚型ロボットの泳法の開発である.この泳法が完成すれば,港湾施設における水中構造物の点検を効率的に行うことが可能になる.本研究課題の目標達成に向けて,本年度の研究は「要素研究」と「ロボット研究」という2つの主要な部分に分けて行った. 1つ目の「要素研究」では,尾ひれのみを抽出した2次元物理モデルを使用して泳法の提案を行った.提案の際に注目したのは,波の振動に対する尾ひれの振動の位相差と周波数比という2つのパラメータである.まず,周波数比を1に設定し,位相差を変化させることで,左右へ推進力を生み出せることを確認した.その上で,この左右泳法を定式化し,数式として統一した.つまり,個別のパラメータに限定された結果ではなく,左右泳法に関する一般的な知見へと昇華させることに成功した.次に,周波数比を2と3に設定することで,前方へ推進力を発生できることを明らかにした.また,後方への推進力については,周波数比を1に設定し,位相差を調整することで可能であることも確認した.しかし,これらの泳法は尾ひれだけの単純化した物理モデルに基づいて提案されているため,魚型ロボットの胴体の影響を評価する必要がある. そこで,2つ目として「ロボット研究」を進めた.ここでは研究グループの協力のもと,胴体の影響の評価を行った.具体的には,ロードセルで支持された魚型ロボットに要素研究で提案した泳法を実装し,胴体の影響を評価した.魚型ロボットに左右の泳法を実装し,左右に推進力を発生させることができたため,胴体がある場合でも左右の泳法が有効であることが明らかになった.同様に,後への泳法も有効であることが明らかになった.さらに,支持なしの状態で前後左右に移動するための実験に向けて,浮力調整機構の試作,および動作確認を行い,設計に問題がないことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「要素研究」においては,尾ひれの2次元物理モデルを使用し,前後左右への推進力を生み出す泳法を提案した.ゆえに,本研究課題の核心部分は完成に至った.さらに,「ロボット研究」では,ロードセルで支持された魚型ロボットに提案した泳法を実装した.その結果,前後左右の全方向において推進力の発生を達成した.このうち,後,左,右の3方向の推進力については,既に学会で発表している.以上から,支持棒がない状態での魚型ロボットの前後左右への移動に向けて,見通しがたったと言えるため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
要素研究における当初計画では,尾ひれの形状を2次元から3次元に拡張する過程で,泳法を大幅に修正する必要があると予想していた.しかし,3次元尾ひれを持つ魚型ロボットに提案した泳法を実装したところ,修正を加えることなく,2次元モデルで提案した泳法を直接使用することが可能となることが判明した.この結果を受けて,初期の計画から3次元での泳法開発を削除し,2次元での泳法をそのままロボットに実装することに決定した.これはロボット(応用研究)と要素(基礎研究)という2つの視点から研究を行ってきた結果,研究計画の最適化が実現した成果であると言える.以上を踏まえて,今後の研究の推進方策としては,魚型ロボットの実験を支持棒がある状態からない状態に移行させ,2次元での提案泳法を用いることで自在に前後左右に移動できることを実証する予定である.
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