2022 Fiscal Year Annual Research Report
Geometry and collapsing theory of Alexandrov spaces
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22J00100
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 禎司 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | Alexandrov空間 / Gromov-Hausdorff収束 / 崩壊 / extremal subset / GCBA空間 / Lipschitzホモトピー / 良い被覆 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の主な研究成果は以下の通りである。 1. Alexandrov空間の崩壊現象の研究:崩壊するAlexandrov空間のEuler標数を極限空間の特異点集合(extremal subset)のEuler標数を用いて記述することに成功した。これは2018年に発表されたSemyon Alesker氏による予想の一部である。一般の崩壊空間の大域位相構造の記述はこれまでなかったため、大きな進展をもたらしたと言える。 2. 曲率の上界をもつ空間の研究:Alexandrov空間の双対としての観点から、曲率の上界をもつ測地的完備空間(GCBA空間)にextremal subsetの概念を導入し、その構造的性質を調べた。特に、一定の条件の下でこのような距離的特異点集合が位相的特異点集合と一致することを示した。 3. Alexandrov空間の非崩壊収束の研究:非崩壊Alexandrov空間は崩壊するものに比べ扱いやすいが、Lipschitz安定性など未解決のままの問題もある。山口孝男氏と三石史人氏との共同研究で、両氏の以前の結果であるLipschitzホモトピー収束定理を発展させ、その定量版を得た。 研究発表については、特に1, 2に関しフィールズ研究所における国際学会で講演を行った。また前年度までに学術誌に投稿していた関連論文が相次いで掲載され、そのうち一つをオープンアクセスにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、Euler標数という粗い範囲ではあるが、一般の崩壊現象の大域位相構造の記述というこれまでにない顕著な結果が得られた。また、GCBA空間の位相的特異点集合の構造について新たな進展があった。さらに、当初は予定していなかった非崩壊Alexandrov空間のLipschitzホモトピー収束について、決定的な結果が得られた。このように複数の方向性で一定の成果が得られたため、研究は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはこれまでの結果を整理して学術誌に投稿する。その上で今後の方向性として、Alexandrov空間の崩壊については、良い被覆を用いて崩壊空間と極限空間の組み合わせ構造の関係を記述する方法を考える。GCBA空間に関しては、永野幸一氏が導入したwall singularityとextremal subsetの関係を明らかにする。また非崩壊収束については、Lipschitzホモトピー収束の定量版の応用の可能性を探る。
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