2023 Fiscal Year Annual Research Report
構造制御による電子状態・散乱操作した高性能透明熱電材料の創製
Project/Area Number |
22KJ2111
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小松原 祐樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 熱電変換 / ナノ構造 / 透明熱電薄膜 / 局所電位分布測定 / KFM |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、エピタキシャルZnO透明熱電薄膜の出力因子増大機構の調査と、本薄膜へエピタキシャルZnOナノワイヤを導入した透明薄膜の作製を行った。また、独自局所ゼーベック係数顕微鏡の開発に向けた装置の修理を行い、それぞれ成果を示した。具体的には以下に述べる。 1. 高出力因子を有するエピタキシャルZnO透明薄膜の増大機構の調査:本試料で得られた出力因子増大の機構を解明するため、ZnO中の欠陥に注目し、欠陥が電子状態に及ぼす影響について検討した。通常、ZnO中には酸素空孔や格子間亜鉛などの点欠陥が存在している。実験的に原子の存在量を調査した結果、高い出力因子が得られた試料においては、そうでない試料に比べて格子間亜鉛の割合が多いことが判明した。特筆すべき成果は、格子間亜鉛の作る準位と伝導帯との混成が有効質量を増大し、ゼーベック係数が増大する機構を見出したことである。 2. エピタキシャルZnOナノワイヤ構造の作製と熱電特性評価:エピタキシャルZnOナノワイヤを1の薄膜へ導入した薄膜を作製した。その結果、ZnOナノワイヤの面密度の増大に伴いゼーベック係数が増大した。その増大機構を調査したところ、当初の狙いであったエネルギーフィルタリング効果が無いことが分かった。現在、増大機構について検討中である。特筆すべき成果は、通常、ナノ構造界面の導入によって電子散乱の影響を受けるが、本薄膜では電子散乱がない特異的状況を作り出した点である。 3. 独自局所ゼーベック係数顕微鏡の開発にむけた装置の修理:今年度は、真空部品の修理を行った。本測定装置がナノ構造含有薄膜へ適用可能か調査するため、SiナノワイヤにPEDOT:PSSを埋め込んだ熱電材料の温度勾配下における局所電位分布の測定を行い、局所電位分布の測定に成功した。また、昨年度中には間に合わなかったものの、得られた結果をまとめ、論文投稿した。
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