2023 Fiscal Year Annual Research Report
Style and expressions of the Memorial Prayers -Yoshishige no Yasutane's writings
Project/Area Number |
22KJ2112
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小西 洋子 大阪大学, 人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 追善願文 / 慶滋保胤 / 菅原文時 / 菅原道真 / 仏教思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
平安時代の貴族社会では、忌日法会に際して追善願文が作成された。追善願文は、一般的に法会を主催する施主が儒者に個人的に依頼して作成されるが、皇族(上皇、三后、親王・内親王)が故人の願文は、その家政機関という組織が依頼する。本研究では、以下の2点を明らかにすることを目的としている。 1.平安中期の儒者である慶滋保胤の作成した追善願文から、浄土思想が急速に広まる当時の仏教界の趨勢や貴族社会におけるその思想受容の在り方を明らかにする。 2.追善願文という文体について再検討し、追善願文には、故人の身分によって型があることを見出す。 本年度は、10月に、(1)「菅原文時「北宮御四十九日願文」 注釈」という注釈を学内誌に発表した。これは、これまで未注釈の願文に詳注を施したもので、内親王の家政機関(内親王家)という組織が依頼した場合の願文の特徴を検討したものである。1月には、(2)「菅原文時「北宮御四十九日願文」の系譜 ―道真の継承―」という題にて学内学会にて口頭発表を行った。これは、(1)の願文の系譜を明らかにしたものである。3月は、(3)「追善願文における「高唐賦」と「洛神賦」の故事──菅原道真「為源大夫、亡室藤氏七々日、修功徳願文」を巡って──」という論文を学外誌に公表した。これは、中国古典文学の故事と仏教の説く輪廻思想が結び付いていく様相を論じ、その表現や論理展開が空海から道真の願文へ継承されていることを明らかにしたものである。 これらは、「追善願文という文体について再検討」することに即した成果である。ただし、1点目の目的については、慶滋保胤とその周辺の天台僧の具体的な交流に関して、検討できなかった。これは今後の課題としたい。
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