2023 Fiscal Year Annual Research Report
プラットフォーム規制に関する日米比較-プラットフォーム事業者の表現の自由を焦点に
Project/Area Number |
22KJ2116
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上本 翔大 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | プラットフォーム / ソーシャルメディア / 検索事業者 / コンテンツモデレーション / 表現の自由 / インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
プラットフォームを運営する事業者(以下「プラットフォーム事業者」という。たとえば、Google社やFacebook社など)は、利用者の投稿や検索結果を監視し、利用規約に反する内容を検出すると、投稿や検索結果の削除や非表示、投稿主のアカウントの利用停止処分等の措置をとる。このような一連のモニタリング業務を「コンテンツモデレーション」と呼ぶ。 今年度も昨年度に引き続き、「学説では偏向的なコンテンツモデレーションを抑制するための規制法が必要であるとされる一方で、コンテンツモデレーションは憲法上プラットフォーム事業者側の表現の自由として保障されるため、上記表現の自由を制約する当該規制法はその合憲性が問題となる」との問題意識の下で、コンテンツモデレーションという表現行為の保障の程度(国家がコンテンツモデレーションを制限できる程度)について考察した。そして、この目的と達成するため、本研究では、先行研究や裁判例の蓄積が進みつつあるアメリカ法を参照した。 本研究の主な成果の概要は次の通りである。プラットフォーム事業者は各社の創意工夫によってプラットフォーム空間の表現を監視し、適正化しているという実態を踏まえれば情報の単なる導管ではないと考えられる一方で、検索結果に表示されるリンク先のウェブサイトやSNS上に流通するユーザーが投稿したコンテンツの内容は各事業者に帰属するものではないし、SNS上に投稿されるコンテンツの大部分は、人間のモデレーターによる個別的な意思行為ではなく、アルゴリズムを用いた機械的な方法で選別されるため、この点では新聞社のような典型的な表現者とも異なる存在である。そのため、プラットフォーム事業者による表現の自由は典型的な表現ほど手厚く保障されるわけではない。
|