2022 Fiscal Year Annual Research Report
環境認識に基づく、動的環境下での高速マルチコンタクト動作計画
Project/Area Number |
22J10953
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
都留 将人 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ヒューマノイドロボット / 動作計画 / 点群認識 / マルチコンタクト動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、視覚認識に基づくヒューマノイドロボットのマルチコンタクト動作計画に取り組む。従来研究では既知環境下でのみ計画可能であったマルチコンタクト動作を、申請者が独自に提案する視覚認識システムと組み合わせることで、未知環境下であっても適用可能にすることを研究目的としている。本研究により、災害現場や月面など、事前に精密な3D環境マップが作成できないような場所にも自律型ロボットを投入できるようになることが期待される。 現時点の研究成果として、シミュレーション環境・現実環境の両方で、環境に合わせてマルチコンタクト動作を自動的に変化させることに成功している。ヒューマノイドロボットHRP-5Pは頭部に搭載した3Dカメラから周辺環境の立体地図をリアルタイムに構築し、その形状を分析することで手足の接触が可能な領域を検出する。2022年秋、その検出結果に基づき、手足の接触点を柔軟に変更することに成功した。 2022年冬、手足と環境の干渉回避を実現した。これにより接触位置を大幅に変更した場合にも、環境とロボットが衝突しないような手先の軌道が自動的に生成され、ロボット実機を使った実験の安全性が確保できた。 更に2022年冬、ロボットの視覚機能も大幅に改善し、動的な障害物を立体地図中から速やかに除去することが可能となった。これによりロボットの視界内を人間が通過する事が可能となり、災害現場など人と協調労働する状況も本研究の適用視野に入った。また、環境が変化した場合にも本機能によって速やかに立体地図が更新できることが確認された。2023年春、この機能をロボットに搭載することで、ロボットの足元に人間がブロックを置いた場合にも自動的にブロックの上に着地する遊脚動作が実現されることを実際の実験にて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、2022年冬にロボット実機実験を成功させ、その成果を以って国際論文誌IEEE RA-Lへ投稿予定であった。しかしロボット本体の機体トラブルや、ロボット体内の小型PCの処理速度の不足などの要因から、提案手法の実装に想定外のエンジニアリングコストを要したため、研究に若干の遅れが発生している。2023年春、それら技術的課題を解決し、ロボット実機を用いた実験に成功している。5月中には当初予定していたIEEE RA-Lへの論文投稿が完了する見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初は、現在の「接触動作の再計画」を完遂した後に、ロボットの「移動経路全体に渡るマルチコンタクト動作計画」へと発展することを予定していた。しかし二次最適化問題(QP)をベースとした最新の動作生成ライブラリを使用している弊害として、肘や膝、腰リンクなど、本来は接触を意図していないリンクがQPの解次第で不自然な姿勢に陥り、環境と接触する問題が明るみになった。 そこで、次の論文のテーマとして「二次最適化の不等式制約式によるロボット全身のリアルタイム干渉監視」を見据えている。 従来研究では、3次元PointCloud情報を地面に投影し、コストマップを構築することでロボットの移動経路をリアルタイムで再計画したり、凸包分解によって干渉判定を簡易化した研究が挙げられる。しかしヒューマノイドロボットは立体的に歩行したり、指先や足裏との接触は許容しなければならないなど、これらの従来手法は直接的な適用が難しい。 そこで、なるべく環境の3次元表現を高精度に保ちながらも高速にデータを走査できるHashed-OcTree構造VoxelMap(通称Octomap)に着目し、ロボット全身の各リンクに対して最近傍のVoxelを高速探索するアルゴリズムを提案する。その上で、自由度を数多く持つヒューマノイドロボットに適用し、QPの不等式制約条件として近傍Voxelとの一定距離を保つ式を導入することで、高速な干渉回避動作の実現を目指す。
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